道具と腕

 一眼レフで写真を撮るようになってからでしょうか、あるいはZIPPOのライターを使うようになってからでしょうか。道具というものへの愛着の気持ちが分かるようになった気がします。
 気に入ったシャッター音(僕の場合は、①予算の制約、②握った感触、③シャッター音という三つの要素でどのカメラを買うかを決めました)や写真の仕上がりの好みなど、数値化できない「感覚」で選ぶ道具には、そういった愛着の情が湧きやすいのかもしれません。逆に言えば、性能が数字で表現されやすいものであればあるほど、「これでなきゃダメ」という思いは芽生えにくい。(だとすると、デジタル一眼よりもフィルム一眼の方が愛されるカメラ、ということになるでしょうか)Nikon D50 シルバー デジタル一眼レフカメラ レンズキット〔AF-S DX ズームニッコール ED 18~55mm F3.5~5.6G〕
 道具にこだわるプロフェッショナルは格好いい。次元大介はスミス&ウェっソン社製M19コンバットマグナム、石川五右衛門斬鉄剣、と。一流の腕を持つプロは、道具も一流であることが多いのです。
 一方、道具にこだわらないプロもいる。かつてのジャズミュージシャンで「巨人」と呼ばれるような一流プレイヤーの中には、ガムテープで補強したトランペットでステージに上がったり、手ぶらでやってきて近所のおもちゃ屋でプラスチック製のサックスを買ってきて吹く、なんてことをやった人たちもいたのだとか。それはそれで「やっぱり彼はすごい」と思わされてしまう。
 やはり、まずは腕を一流に、道具も一流ならば言うことはない、といったところなのでしょうか。