不動産は生産される

日本は土地が狭い⇒土地は新たに見つかったりしないから、供給が増えることもない⇒ちゃんとした都心に不動産を持っていれば、大きく下がることはない。こんな論法をマンション販売業者の皆さんはよく使われるそうです。
確かに、300年前ならいざ知らず、新しい土地が見つかるというのは今後ちょっと考えられない。日本が狭い国であるのも事実。でも、だからといって不動産を買っても大丈夫ということでいいんでしょうか?特にマイホームを買う予定はなく、一生賃貸主義者の僕ではありますが、昨今の不動産&REITブームなど見ていると気になるところでもあり、少し勉強してみようかと思いました。
まず取っ掛かりに手に取ったのがこの本。センセーショナルなタイトルですが、著者が著者だけにマトモな内容。

最も強調されるべきは、「不動産は生産されている」のだということ。それも昨今のブームの下でかなり大規模に。何も大航海時代並みの探検隊が次々と新世界を発見、というのではなく、ただの埋め立てというのでもなく・・・。そう、ビルの立替や高層化がその主役です。
六本木ヒルズしかりミッドタウンしかり、三菱Gによる丸の内再開発、三井Gによる日本橋再開発に代表されるとおり、ここ数年から今後数年は都市再開発のラッシュ。それらの立替・高層化で生み出される床面積は膨大な量に上ります。
マンションブームで大量に高層マンション・大規模マンションが造成されているのも周知の通りですから、不動産の生産はビジネス向け・レジデンス向けを問わず急ピッチで進行しているということになります。また、東京23区内にはまだまだ高度利用されるべき土地が大量に「眠っている」。
著者は新たなるバブル崩壊を危惧していますが、ここ数ヶ月新聞紙上をにぎわせているサブプライムローン問題がアメリカに与えた影響を考えると、あながち過剰警戒とは言えない部分があります。
僕自身も前職で片棒を担いだ住宅ローン。頭金なしの35年ローンで返済完了が70歳(当然働けない年齢です!)なんていう例はザラにあるわけで、それらローンの債務者が金利上昇局面でどのように返済金額上昇を賄うのか、正直言ってわかりません。所得が安定的に増加する、あるいは横ばいながら生活コストは増えない、という確信があるならいざ知らず・・・。
日本でもサブプライムローン問題ならぬ「長期住宅ローン問題」が発生する可能性は、ゼロではない。そんな恐怖が少し現実感を帯びる今日この頃です。