知的ストレッチ入門

珍しく最寄駅の近くにあるほんの20畳くらいの広さの本屋で買った本です。狭い割に雑誌とビジネス関連書籍は充実している(あ、あとコミック本も)という不思議なお店。

知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る

知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る

著者の名前はどこかで聞いたことがあるという程度でした。誰かが「よく読み、よく書く人」というような紹介をされていた記憶があります。そんな著者による知的生産性向上の指南書がこちら。
知的生産性という言葉は、梅田望夫氏の著作やブログでもよく登場するキーワードであり、現代人がポスト情報化社会の中で生きていくうえで向上させることが必須とも言える、いわば身体能力といってもいいもの。それを「ストレッチ」によって向上させよう、というわけです。
具体的なノウハウ(本の読み方や付箋の使い方等)が多く盛り込まれた本ですが、全編を通じて繰り返し説かれるのは「アウトプットの重要性」です。
インプット(通常の読書や学習といったものをいくら大量に行っても、それがアウトプットを前提としていない限り吸収力は弱く、見落とし・漏れが生じるなど質も低下しやすい。一方、アウトプット(書く・話すなど)をどのように行うかのイメージが明確化されていれば、インプットへのアンテナは自ずと高まり、半自動的に取捨選択をした上で必要なものだけを効率的に吸収することができる、ということ。
そこで著者が薦めるのが「書く」という知的生産。こうしたブログなどもそうですが、「書いて伝える」(もちろん説得力をもって)という行為を想定した上で本を読んだり、毎日を過ごしたりすれば、自ずと目に飛び込んでくる景色が変わってくるし、入ってくる情報が変わってくる。これは僕自身も経験していることですが、「あ、アンテナが張られているな」という感覚ですね。
経営者の方が四六時中会社の将来について考えていると、お風呂の中やふとした光景を目にしたときにパっとひらめいた、というような話がありますが、それもまたアンテナの例だと思います。頭の中に、「会社の将来をどうするか決めなくては」という思いが常にアンテナを張っているために、「情報を集めよう」と意識しているわけではないのに、そのテの情報が自分から飛び込んでくる。
こうしたことを「天啓」などと言ってしまうことがありますが、決してそうではないはずです。天から降ってきたのではなく、その人がアンテナを高く広く張っていたから、キャッチできたということなのです。
1週間に1回、身近に起こった「good and new(よかったことや新しいこと)」をみんなの前で話す、ということをしている会社があると聞きました。そうした機会を作ることで、知らず知らずのうちに社員が身近な物事にアンテナを張り、日々の生活に新しい発見を見出すことを期待したものです。これもまたアウトプットを前提として生み出されるアンテナの例ですね。