酔いどれ自転車紀行 隅田川編

こんなタイトルをつけると、時節柄たいへんな問題になってしまいそう・・・。
今日は昨夜の安焼酎が効いて、朝から頭痛に苛まれる典型的な二日酔い。マトモに体が機能するようになるまでベッドの中で過ごし、昼前に起床。天気は・・・雲は多いが比較的良好。出かけなくては!!もともとは戸田公園まで走ってレガッタを見る予定だったんだけれど、諸般の事情により中止。代替のプランを立てるため、こんな本を引っ張り出します。

東京周辺自転車散歩

東京周辺自転車散歩

そこで見つけたのが、東京駅を出発して日本橋人形町を経て隅田川を下り、佃島・勝鬨・築地を経て東京駅に戻ってくる、というとっても江戸情緒溢れるプラン。これにしましょう!
というわけで出発。いつも通り後楽園を経て水道橋⇒神保町⇒東京駅へ。

まずは日本橋の日銀本店旧館。それを横目に見つつ、日本橋の街を抜けて人形町へ向かいます。このあたりから、少し悪い汗をかき始めた私。そう、やっぱり二日酔いは治ってなかった・・・あまり気分のよくない中、大都会のど真ん中を自転車で走るっていうのは、なかなか楽じゃない。
「隅田川に出れば、車もいない川沿いの走りやすい遊歩道をまっすぐ下れるんだ!」と自分をはげましつつ、土曜日で賑わう東京の中心部を走ります。そして、やっと隅田川!遊歩道!!と思いきや・・・
「自転車乗り入れ禁止」の文字に驚愕。「って、この本にゃ遊歩道を下るって書いてあるじゃん!!『川の流れとともに河口に向かっていくような不思議な感覚にとらわれる』とか書いてあったじゃん!!」でも禁止は禁止。しばらくは川沿いに走る自動車道を行きます。ところどころで迂回させられ、迷い込み・・・イライラ・・・。ようやく遊歩道に合法的に入れる場所に辿り着いたころには、すっかり気分が落ち込んでいました。

とはいえ、川沿いに走る道は確かに爽快。時折すれ違うジョギング中のおじさんや、犬の散歩風景、いちゃつくカップル、バーベキューに興じる人々などを横目に見つつ、永代橋を過ぎて中央大橋。そこから橋を渡って佃島に向かいます。家康を助けた摂津国佃村の漁民に与えられた土地、という由来があり、佃煮の名前の由来にもなっている街。今はすっかり高層マンションが立ち並ぶウォーターフロントの高級住宅街。

今日唯一自転車のサドルから降りたのはこの時だけ。川沿いの道にて。自分の自転車を満足げにカメラに収めている怪しげなサングラスの人物が一人・・・。
さて、佃島を過ぎてもんじゃ焼きの聖地・月島を走り抜ければ、かつて跳ね橋として威容を誇った勝鬨橋の登場です。

真ん中あたりに見える電話ボックスのようなのが、当時跳ね橋を操作していたところのよう。河川による物流が細ったせいでしょう、今は「開かずの跳ね橋」と呼ばれ、その使命を終えています。そういえば昔、マンガ「こち亀」でこの橋をテーマにした話がありましたね。
勝鬨橋を渡って晴海通りを進めば、そこは築地。場外市場(初めて行きました)の横を通り抜け、歌舞伎座へ。カメラを手にした外国人の姿を数多く見かけるエリアです。

長年の伝統を誇る築地市場。しかしながら、2012年を目処に豊洲への移転が都によって決定されているとのこと。道行く観光客の会話にも、「残念だね」「どうして?」といった声が混じっていました。

晴海通りの車の多さに辟易しながら、車道へ出たり、歩道に入ったりを繰り返して銀座を目指します。右手には歌舞伎座。いよいよこのあたりから、ガイドブックへの不信感がピークに達してきていたわたくし。「っていうかさ〜、こんな道を自転車で走れるわけなくない?車道は渋滞で全車線止まってるし、歩道は人だらけ・・・ムリくさくねぇ?」ってな言葉を心と口でつぶやいて。
そして遂に、「もーやめた!!この本はウソつきだ!このまま銀座に突っ込んだら、『和光だぁ』とか言ってる間に前の車に突っ込むか、通行人をなぎ倒して自分もコケるかしかない」と観念。昭和通を右折して、永代通から一気に皇居まで駆け抜けました。

そこで出会ったのがこの夕焼け。手前の皇居を闇に飲み込みながら、どんどんと空がオレンジ色に染め抜かれていきました。走ってきてよかったね、間に合った!!という感覚。銀座を避けて家路を急いだのが、とんだところで報われる形に。こうした偶然も、写真に収めることで心にしっかりとつなぎとめておくことができます。ビバ、自転車、ビバ、カメラ、そして、ビバ、トーキョー。

本日の総走行距離:24.5km
photo: Nikon D200 with AF Nikkor 85mm F/1.8D