{読んだこと考えたこと]  ヒキガエルにキッス

久しぶりにひどい雨です。こんな雨の日だからなのか、ふとウォーレン・バフェットが著書の中で持ち出した「ヒキガエルにキス」する話を思い出しました。
彼の唯一の著書とも言える『バフェットからの手紙』(バフェットは本を一冊も執筆していません。彼が書いた文章として唯一公開されているのは、彼の経営するバークシャー&ハサウェイ社の年次報告書中にある「会長からの手紙」だけ。本書は、それをローレンス・カニンガム教授がまとめて出版したもの)の一節。
本来の価値を大きく上回るプレミアム価格で企業を買収(キス)して失敗してもなかなか行いを改めず、次から次へと買収を繰り返し、株主の利益を損ない続ける経営者を揶揄したくだりです。

「私はこれまで、子供の頃に読んだカエルにキスするプリンセスの童話に今も魅了されている買収に飢えた経営者たちを数多く見てきました。彼女の成功を思い出し、驚くような変化を期待しながら、経営者たちは喜んで企業たるヒキガエルにキスする権利に金を支払います。
(中略)私たちは多くのキスを見てきましたが、ほとんど奇跡は起こりませんでした。それにもかかわらず、多くの経営者たるプリンセスたちは、会社の裏庭に変身しないヒキガエルがあふれてきた後でさえ、キスの持つ未来の効力を信じているのです。」

市場である企業の株の一部を購入するときにも、その企業を買収する時と同様の心構えと準備で投資対象を見定めること。これがバフェット流の投資です。とすると、私たち個人が株式を購入するときにも、いかに「ただのヒキガエル」と「王子さま」とを見分け、キスするかが問われることになりますね。