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 5円玉に描かれているもの

5円玉に何が描かれているか知っていますか?そんな興味深い話を聞いたのでご紹介します。
外国の硬貨には、その国の偉人の肖像などが刻まれていることが多いような気がしますが、日本の硬貨は違います。自然の事物や建築物などが刻まれています。そんな中で、恐らく硬貨の中では最も目にすることが少ないであろう5円玉について、「何が描かれていて、どういう意図でそれが描かれたのか」という話。
描かれているのは、以下のものです。

  1. 稲穂
  2. 歯車
  3. 水(水面)
  4. 双葉

もっとも「?」なのは歯車ではないでしょうか。これは穴の周囲に描かれています。
それぞれの表す意味合いは、上から農業・工業・漁業・林業。つまり日本の産業をテーマにして描かれた硬貨なのですね。恐らく、これらの産業を発展させて日本を豊かな国にしていこうという日本人の思いの現れなのではないかと思います。ちなみにこの硬貨がデザインされたのは1949年。まさに戦後間もなくのことでした。
現在の日本を振り返ってみれば、農業は担い手の高齢化と競争力の減退で衰退の一途、漁業もそれと似たような状況。かつては隆盛を極めた工業もグローバル化の波の前に立ちすくむ状況が生まれています。林業国際競争力という点では言うに及ばず。
戦後の日本を支えてくれよと5円硬貨に込められた思いは、いっときその煌めきを世界に輝かせたものの、現在は光を失いくすみつつあると言えるでしょう。
5円硬貨に込められたメッセージから今僕たちが読み取るべきは、戦後すぐの時代の日本人が持っていたメンタリティを堅持し続けるだけでは、もはや現代世界で日本が光を放つことは難しいということではないかと思います。そこに描かれていない「業」に、新しい日本が世界に誇れる産業が生まれる姿を想像することもできるでしょうし、いくつもの「業」を同時に振興するというのではなく「絞りと集中」を効かせることが解なのかもしれません。
戦後すぐの思いの堅持ではなく、想像力を羽ばたかせて新しいものを考えていきたい。そう思います。
Kazuteru Kodera