株式投資はなぜ儲からないのか

リスク資産に対する投資を初めて5年超。ほぼ自分のスタイルは確立しているつもりだけれど、まだまだ興味が尽きない。というわけで、「いかにも」なタイトルの本を読んでみました。

なぜ株式投資はもうからないのか [ソフトバンク新書]

なぜ株式投資はもうからないのか [ソフトバンク新書]

個人投資家という立場で株式市場に投資する場合、どんなメリット・デメリットがあるのか。それを株式市場にまつわるさまざまなプレイヤーの存在を前提とした「仕組み」から理解できれば、という思いで手に取りました。
まず、個人投資家がぶつかる株式市場の構造的なカベ。

1.金持ち優位の世界である
 証券会社の上得意顧客に情報と機会が集約される仕組み。小さな個人はそもそも不利である
2.プロ優位の世界である
 それでメシを食っている投資のプロがゴマンといる世界。情報・手法の点でプロには勝てない

「仕組み」の点以外にも、世界経済や政治的要因といった企業業績とは関連性の薄い事柄にも影響を受けてしまうという「マクロ要因」の存在も、リスク許容量が小さくヘッジ手法にも疎い個人投資家には不利に働く。
結局のところ、長期的な資産形成という側面で考えた場合に、株式、とくに個別銘柄への投資を個人として行うのはオススメできないという、僕自身が持っている考えを再確認する結果となりました。
筆者は、Web2.0化した世界における個人投資家同士の有機的つながり・情報の共有化が将来的には個人投資家の地位向上の助けになるといった話もしており、着眼点としては非常に興味深く読みました。ただ、投資・お金といった利害色の強いコンテンツを扱ったとき、そうした個人同士の有機的つながりや連携が果たして生まれるのか、今後の展開は未知数。「儲け話は自分だけのもの。他人には教えない」という心理を、いかにWeb2.0化が打ち破っていくのか、楽しみにしたいところですね。