世界に広がる探し物

書評ブログで見かけて購入した本。書店で探すのは少し大変でした。何せソフトバンク新書なんていうところから出ているし、検索マシンに入力しているところを覗かれても微妙なタイトル・・・。いい年した大人が「自分探し」なんてまじめな顔で検索していたら、ちょっとした好奇の視線に晒されそうで。

自分探しが止まらない (ソフトバンク新書)

自分探しが止まらない (ソフトバンク新書)

とはいえ、現代はそんな探し物を求めて多くの人が彷徨する時代。サッカー界を突如引退して「新しい自分探し」に旅立ってしまった中田英寿、世界を旅するために格闘技界を突然引退し、その後地球温暖化と戦うという「気づき」を得た須藤元気。そんな例から始まって、身近な、そしてあっと驚く自分探しの世界を解説してくれている本でした。
全編を通じて、自己啓発や成功本への偏った見方や誤解に基づいた見解が提示されているという点は否めない。しかし、現代の老若男女が多かれ少なかれ実感しているのであろう、「本当の自分はこんなじゃない。どこかに本当の自分が・・・」というモヤモヤが、現代社会でどのように発露として表れ出ており、またそれを取り巻くようにいかがわしいビジネスや人々が闊歩しているのかという視点は、興味深いものでした。
自己変革をする努力もろくにせずに、手っ取り早く環境を変える(=旅に出る、仕事を辞める等)ことで変われる、本当の自分を見つけられる、といった安易な考えを戒める著者。この点には、まったく同感です。