坂の上で出会うもの

先週の土日は、八ヶ岳の麓で過ごしてきました。学生時代に所属していたサークルのOB会で資金を集めて作った山荘が出来上がり、その開荘式だったのです。
目の前に南アルプス甲斐駒ケ岳、そして八ヶ岳を望む丘陵地帯に建つ山荘。予想していた以上にしっかりとした造りとロケーションに、出資者として名を連ねたことにちょっぴり誇らしい思い。

土曜日お昼に自転車を持って「あずさ」に乗り込み甲府で下車。甲府から目的地までは約30kmのコースです。自転車を駆り、甲府から韮崎を抜けて、いざ明野町へ。
大型車の目立つ甲府市内を抜けると、道は次第に緩い上り坂に。周囲の光景も開けてきて、山々を遠謀できる山国独特の空気を楽しみながら走ります。空にはところどころ雲が見え隠れしていたけれど、天気は晴れ。やっぱり自転車は晴れた空の下で乗るに限りますね。

ところが、どんなに空が晴れていても自転車乗りを苦しませるのが風。この日も、3月中旬らしい温かい陽気かと思いきや、強い風が容赦なく吹き付けて体温を奪っていきます。上り坂を走ればすぐに汗ばんでくるはずの気温なのに、ちっとも体が温まらない。想像していたよりも体力的には苦しい旅となっていきます。
いよいよ山荘まであと数kmとなって出会ったのが、この坂・・・、明野町に入ってから延々と続く坂道、時折襲ってくる急坂。

上り坂があれば下り坂もあるのが坂というもの、人生というもの。ところがここは山へと向かうと峠道。上りはあっても下らない。漕いでも漕いでもラクにならない。そして風は相変わらず容赦なく吹き付ける・・・。「これが・・・坂道ってもんかぁ・・・」呟きながら喘ぎながら、前へ前へ、上へ上へと登って行きます。
山荘が少々わかりにくい場所にあったこともあって30分ほど道に迷い、ようやく4時半に現地に到着。すぐに南アルプスへと沈む夕陽が歓迎してくれました。

あんな坂を上ってきた筈なのに体がすっかり冷えてしまっていたため、しばしコタツで居眠り(そう、この山荘、OBからの寄贈で家財道具は既に一通り揃っているのです!)。周囲は山菜取りに出かける人、買出しに出かける人とあわただしく動く中、「自転車で来て疲れてるでしょ?寝てな寝てな」と温かいお言葉をいただく。
30分ほどで起き出してストーブで温まっていると、やがて宴の夜が始まりました。(宴編はまた改めて。)

photo : Ricoh GR Digital