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30秒と4年間

今日のお昼は、バンクーバーオリンピック女子モーグル決勝の場面をテレビで見ていた人も多いのではないでしょうか。昼食を食べながらテレビをつけると、「上村金メダルへ あと5人」というテロップ表示。予選5位で決勝に進んだ上村愛子選手があと5人後に登場する、という時でした。
上村選手の滑りは見事なものでした。スキーは素人の僕ですが、しなやかなかつ力強い滑りだな、と感じました。それでも、果敢にリスクをとってスピードを高めエアーを決めたカナダ・アメリカの3選手の滑りは、確かに上村選手のそれよりも迫力があったし速かった。
そんな光景を見ながら、彼女たちがこの種目にしか出場していないということにふと気付きました。モーグルには「長距離」も「短距離」もなく、「ノーマル」も「ラージ」もありません。彼女たちはこの30秒間の滑降のためだけに、バンクーバーの地にやってきているのです。4年間の厳しい練習を積んで。
30秒と4年間、そのあまりの時間的な開きに思いをやると、ふと茫然とした気持ちになります。この30秒間にベストを出し切るために日頃の訓練を積み重ね、コンディションを整える選手たち。それでも一つの小さなミスや、ちょっとした雪面の具合によって、メダルは遠くにいってしまう。厳しい世界です。
人に勇気を与える方法について、こんな話を聞いたことがあります。

人に勇気を与える唯一の方法は、自分がまず勇気を見せること

たった30秒の、それも雪面の状況やその他の要因によって成果が左右されてしまうようなリスクの高い競技に、長い長い時間と努力を重ねていく姿勢。それは勇気を持っている人にしかできないことです。オリンピック競技が、世界中の人々に愛されているのは、そうした勇気をもった人たちが一堂に会してその技を競い合う場だからなのでしょう。
Kazuteru Kodera