iPhone所有がもたらしたもの

iPhone体験とは別に、iPhoneという「機器」を手にしたことでもたらされた思いがあります。それはデザインということの意味について。
Apple社は、デザインにとことんこだわる。ここでいうデザインというのは、見た目だけではなく、その機能性・ユーザーインターフェース(UI)、そしてもちろん美的外観を含んだ概念。
ある機械デザイナー(設計者)の方と話をした際に印象的だったのは、「よくできた機械はカッコいい」という言葉。デザインというとつい外観だけを想起してしまうけれど、とくに工業デザインの世界では「機能性」という観点がとても重視される。
その点で、AppleiPhoneは一つの極致に達している。表面から通常の携帯電話にあるボタン類を一切排除し、フラットなディスプレイのみを配置(ホームボタンというのが中央下部に一つだけある)。その理由をCEOのSteve Jobsは、「携帯電話のさまざまな機能に要求される理想的なキーボードの配置はそれぞれ異なっているから」と説明する。ベストなキーボーfドを機能に合わせて付け替えることはできないから、ディスプレイをタッチする形式を採用したというわけ。ここに、美的外観と機能性の両立が見て取れます。
また、Appleの製品はマニュアルを見なくても操作できることに定評があります。iPhoneも同様。通常、携帯電話のマニュアルというとだいたい3冊くらいに分かれていて、それぞれが2cmくらいの厚みを持っている。まず読んだ人はいないだろう、という代物。一方のiPhoneには、紙のマニュアルは付属していない。実際僕も、箱を開けてすぐに操作できたし、ファイル形式で閲覧できるマニュアルを見たことはない。これも、デザインの力です。