珍獣との出会い

1時間半あまりの下りルート。空はすっかり曇天に包まれていて、夕刻迫る山中は徐々に暗くなりつつありました。時刻も遅くなっており、早く小屋まで戻らないと風呂(鉱泉)に入る時間がなくなってしまう(お風呂は夕方6時までだったのです)、と、足早に道を進みます。
急な下りを越え、沢の水音が聞こえてくるあたり、そこにその珍獣がいました。

自分の足下前方1mあまりを注視して下っていた矢先、突如として視界に現れたのです。体長は1.3mといったところでしょうか、犬程度しかマトモに見たことの無い都会育ちの人間にはかなり巨大に見えるサイズです。
しかも、その人相ならぬ獣相たるや「かわいい」とは程遠い。おっさん然としたヒゲが頬を覆い、目は真っ黒に光っている。こ、怖い・・・。思わずよろめいて前進ストップです。
後ろを歩いていた仲間によると、これは「カモシカ」。名前に「鹿」という字が入りながら実は鹿ではなく、牛に属する生物なのだとか。「カモシカのような足」なんてウソじゃないか!と思うくらいに太く逞しい足でした。これからは女性に間違ってもそうした言い回しはしないようにしよう・・・。
カモシカとの出会いに興奮を覚えつつ、そのまま無事に小屋に到着。たっぷりと夕食を食べ、夜9時過ぎには就寝と、実に健康的な一日となりました。