ミルキーブルーの湖

ニュージーランドには、氷河から流れ出た水が貯まってできた湖がいくつもあります。ChristchurchからMt.Cookに向かう途中、そんな湖の中でも美しさで名高い2つを通過していきます。一つが、テカポ湖。原住民であるマオリの人々の言葉で「夜の寝床」を意味する湖。
湖畔には、「善き羊飼いの教会」と名づけられたかわいらしい石造りの教会が佇み、鮮やかな緑色に輝く湖面を見つめていました。

普段、教会内部の撮影は許されないということでしたが、どういうわけか僕らが訪れた日はOK。静かに祈りを捧げる人の横で幾度もシャッターを切るのは憚られるので、一回のチャンスと心に決めてファインダーを覗きます。そこにあったのは、思わず全身の動きが止まってしまうほどの、素晴らしい光景でした。

標高が高めということもあって、冷たく強い風が容赦なく吹き付ける土地。一年中、強い風に見舞われる地域なのだそうで、頭上を流れていく雲のスピードも思いのほか速い。テカポを後にして、訪れるのはプカキ湖。こちらはマオリ語で「入り江の頭」という意味。

緑と白が混じった「ミルキーブルー」(ブルーといっても、日本人の目には緑にしか見えません)の色合いが名高い湖です。

このあたりから、空には分厚い雲がかかるようになってきます。ニュージランド西海岸近くは、とても降水量の多い地域。美観で名高いミルフォードサウンドなどは一年で300日は雨が降るというエリア。そんな多雨地域に近づいていることを示すように、暗く重い雲が、青い空を包み込むように流れ込み始めていました。
photo : OLYMPUS E-410 with ZUIKO DIGITAL 14-42mm F/3.5-5.6