AIマネジャーは組織のパフォーマンスを上げるのか

こちらの記事、とても挑発的なタイトルですが、個人的にはとても納得できるものでした。

一般企業のマネジャーの9割がAIに置き換えられる理由 | 横山信弘 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

日本を始めとするアジア諸国の多くでは組織の階層構造における上位者の権威を重く捉える傾向があるため、「マネジャー=偉い人、尊敬すべき」とされることが一般的です。マネジャーとは、人間性に優れ、リーダーシップがあり、聡明な人がなるもの。だからこそ、マネジャーは尊敬される。

一方で、マネジャーについて語られる理想が高いが故に、それを体現していない人物がその地位に就くとさまざまな批判を浴び、居酒屋でのサラリーマンの会話の多くが上司の悪口、という悲しい現象が生まれたりもしています。

人間はもともと高度な情報社会における判断が得意ではありません。我々の遺伝子は原始時代のままですから、客観的な事実を積み重ねて合理的に判断するよりも、感覚に基づいて瞬発的に判断することが得意です。でなければ、野生動物が闊歩する大平原では生き残れなかった。だから、現代においても我々の判断は「好き嫌い」に大きく左右され、「なんとなく」の嗜好をうわべだけの合理性で脚色して意思決定をしています。結果として、「理不尽な上司」「非合理的な意思決定」が幅を利かせているのです。

あらゆる組織にマネジメントが必要とされる中、人間はこんな有り様。結果として世の中のマネジャーの大半は「期待に応えられていない」のではないかと私は思っています。

であれば、情報社会のデータ分析とスコアリングに基づく判断に優れたAIにマネジャーの役割を担ってもらい、世の中から「ダメ上司」を駆逐する方が、よほど社会全体の生産性が上がるのではないかと考えてしまいます。

AIに従うなんて!と憤るのは筋違いです。マネジャーの役割を「情報に基づいて成功確率の高い行動を決定する機能」だと考えれば、AIマネジャーはカーナビのような存在です。誰もカーナビに「命令されて」運転しているわけではないのと同じく、AIマネジャーは組織のナビゲーションシステムとしてその役割を果たすのです。「偉い」とか「上、下」といった階層意識を捨てれば、それほど突飛な話ではないはずです。