ZOZOの「お任せ宅配便」 は誰にとっての救世主なのか

ZOZOTOWNが今年から始めた新しいサービス「お任せ宅配便」を3月に利用開始し、3月・6月と2回の宅配便を経験しました。

利用登録をすると、配送頻度(毎月・3ヶ月・6ヶ月など)・服の好み・タイプごとの予算(Tシャツの予算上限は〇〇円まで、など)・自分の体型(部位ごとのサイズを測って結果を入力。話題になったZOZOスーツを利用すればそこからのデータを参照)。最後に任意で自分の写真データをアップロード(スタイリストがイメージしやすいように、とのこと)して完了。あとは箱詰めされた宅配便が届くのを待つだけ。

面白かったのは、服の好みの入力方法でした。服のタイプごとに選択式で好みを入力するのですが、「好き」という積極的な選択ではなく「嫌い・入れて欲しくない」という消極的な選択をさせられるのです。

これは、特に服装に強い関心がなく、「ボートネック」と言われても「?」となってしまう私のようなレベルの消費者には最適。正直なところ、選択肢として並べられているボトムス(まあ、ズボンですね)の種類の名称を見てもほとんどピンと来ませんから、「ミリタリー」といった明らかに自分の趣味に合わないものだけ排除して、あとは「届いてから考えよう」となります。

購入する洋服の選択を「お任せ」してしまいたいと考える消費者がターゲットなのですから、強いこだわりを持っているはずはありません。こだわりがないということは当然に知識もないわけで、そこにアパレルの専門用語を並べて「好きなものを選べ」は無理があります。だからこその消極的な選択。これはとてもいいアイデアだと感じました。

さて、 実際に届いてみてどうだったのか。3月の配送では、6点(トップス2点、ボトムス2点、靴1点、カバン1点)のうち2点を購入。6月は、同じく6点(トップス2点、ボトムス3点、靴1点)のうち5点購入、となりました。返品の際には理由も選択式で入力する(予算が合わない、色が趣味に合わない、など)ので、だんだんと精度が上がってくるような仕組みにもなっているのがいいですね。

それに、宅配便の箱の中には(ウェブ上のマイページにも)それぞれのアイテムの写真付きの説明と、同じく写真付きで組み合わせ・コーディネート例とその説明が添えられています。どう組み合わせて着たらいいのかも皆目わからん、という全くセンスに自信のない人でも、とりあえず写真通りに着ておけばOK、という気楽さも素晴らしい。

このサービスを利用して購入した洋服は自分にとってどんな存在なのか。簡単にいうと、「自分で店に行ったら多分選ばないであろうデザイン・価格帯でありながら、かといって”これは無理!”とはならないレベルのやや冒険的な選択」。妻の反応も聞きながら決めていることもありますが、「少し自分のイメージを変えてみたいが、驚かれるような変化はしたくない」という誰しもが持つ健全な変身願望に応えてくれるように思います。また、上記のように「嫌いなもの」を外しただけなので、普段の自分からはちょっと想像できないデザインのアイテムが含まれていることもあり、いい意味で新しい自分の好みを発見することにも繋がります。

まとめると、「お任せ宅配便」のサービスが直球で決まるのは、こんな人なのではないかと思います。

  • 「おしゃれ」とまで言われたいとは思わないが、それなりに流行を意識した「ダサくない」格好をしていたい。
  • 店に行って洋服を選ぶのが苦手で、ついこれまで着ていたのと同じような保守的な選択をしてしまう。
  • 店員との会話が気恥ずかしく、オススメされる「少し冒険的」な洋服を素直に購入できない。

案外こういう人って多いのではないでしょうか。

もちろん、上記には当てはまらないけれど(店に行って前向きに選べる人、なと)、とにかく出かける時間がない(仕事が忙しい、子育て中で一人でゆっくり買い物に出かけられない、など)という人も十分に満足できるのではないかと思います。

ZOZOを運営するスタートトゥデイのミッション「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を」に見事に繋がる素晴らしいサービスです。