007シリーズを原作で読む

 何を隠そう映画007シリーズのファンです。といってもロジャー・ムーアショーン・コネリーが演じていた「古き良き時代の007」ではなく、ダニエル・クレイグが演じる最新シリーズが好みです。ボンドガールやハイテクな道具が脚光を浴び、ジェームズ・ボンドの色男ぶりばかりが取り沙汰される娯楽映画としての前シリーズとは違い、ボンドが人間臭く描かれ一人の男性として素直に格好いいと思えるところが好きなのです。

この007シリーズには原作があるということを最近知りました。たまたま立ち寄った本屋で見つけてしまったのです。それ以来、立て続けに原作を読んでいます。2週間あまりですでに4冊目に突入。

何がいいのか? ジェームズ・ボンドが実に普通の人間として、(確かに優秀なスパイではありながらも)恐れ、戸惑い、誘惑に溺れ、騙されて、それでも何とかミッションを成し遂げていく。と同時に、生活習慣や食べ物・飲み物、衣類など、英国紳士としてのこだわりが随所に描かれ、冒険譚の中にも生きることを楽しみ、日々のスリル溢れる仕事の中にも遊びの要素を取り入れる。人間ジェームズ・ボンドの魅力がたまらない。

小説としても大ヒットを収めたシリーズだけに、ストーリーやボンド以外の登場人物の魅力も十分に楽しめます。言うまでもなく、ボンド・ガールと言われる主役女性が作品ごとに代わる代わる登場。その魅力も味わえます。

また、作品ごとに舞台となる国が多彩に登場し描写されるのも楽しさの一つ。トルコ、ジャマイカ、ロシア、もちろんイギリスも。紀行小説として読んでみてもいいかもしれません。一冊で何度も美味しい思いができてしまうとは、しばらく私も読み続けることになりそうです。