ニッポンの労働力不足を解消するためには、男が生産性を上げるのが一番だ(後編)

昨日のエントリーの最後に、

家庭の中にいる女性が外で仕事をし労働力になる。「女性の社会進出」というやつですが、これには間違いなく「男性が労働生産性を上げること」が必要だと思うのです。詳しくは次回に書きたいと思います。

と書きました。今日はその続きについて書きますね。

家庭の中にいる女性、というのは、専業主婦の皆さんを指しています。子育てや家事というのは立派な「労働」ではある訳ですが、残念ながらそれはGDPには含まれていないし、高齢化した日本社会を支えるために必要とされる労働力の範疇には入らないので、ここで言う「女性の労働力化」というのは、そうした人たちが外に出て仕事をすることを指しています。
女性、特に結婚して子どももいる女性が外で仕事をするためには、日本にはたくさんの障害があります。いろいろと議論が巻き起こっているのは、保育園不足による待機児童の問題だったり、核家族化に伴うコミュニティからのサポート不足の問題だったりするのですが、実のところそうした障害の中で最大のものは「仕事のできない(つまり生産性の低い)男ども」ではないか、というのが僕の考えです。
生産性の低い男どもがダラダラと長時間会社で仕事をして家庭での可処分時間がきわめて少ない。また、大して生産的な仕事もしていないくせに「疲れた」などという言い訳ばかりして子育てや家事へのコミットメントが異常に低い。もちろん全ての男性とは言いませんが、日本男性のマジョリティはこんな状態ではないでしょうか?
半年とか1年とかいうスパンで毎日夜の10時11時にしか帰宅できないという状態の男性は多いですが、子どものいる家庭でこれは明らかに異常です。仕事のスピードを劇的に改善する努力と投資をするべきでしょうし、それでも処理できない仕事量ならば会社に対して組織的な対応を訴えるべきでしょう。それも無理なら、仕事というものの優先順位そのものを見直した方がいい。そんな仕事を続けていても、間違いなく幸福にはなれないからです。
この「時間資源とコミットメントの不足」がある限り、女性の側が家事を相当高いレベルの生産性でこなすか、あるいは多くの時間を家事に投入しないと、生活は成り立たなくなってしまう。結果、「子育て・家事が追いつかないので」という理由で女性がフルタイムの勤務を断念して能力を活かしきれないパートの仕事に就いたり、専業主婦になったりするという構図です。
仮に保育園が整備されたり職場の環境が整備されたりと「外部環境」が改善されたとしても、家庭内の「内部環境」に生産性&コミットメントの低い男 という弱みが存在している限り、女性がハンディなく社会で立派に仕事をしていくというのは難しいのではないでしょうか?
社会や企業といった外部環境は、変革するのに時間もかかるし不確実です。一方、内部環境は自分たちでコントロールできます。「安心して子育てのできる社会を」とか「共働き家庭への支援を」などと実現するかもわからない理念を述べ立てるよりは、まず家庭内に巣くう最大の弱みである「ダメ男」の生産性とコミットメントを向上させ、毎日早く帰宅し子育て・家事を担う姿へと変化させることが先ではないかと思うのです。
ちょっと過激な言い方をしましたが、僕自身も含めて「意識」のレベルと「能力」のレベル、そしてその結果として「行動」のレベルで男性が自己変革をしていかないと、日本は活力を失った老人国家になってしまう。そんな危機意識を一人一人が持つことはとても大切だと思います。
Kazuteru Kodera