ニッポンの労働力不足を解消するためには、男が生産性を上げるのが一番だ(前編)

アメリカに追いつけ追い越せの掛け声の下で経済を成長させ社会を成熟させてきた日本ですが、高齢化に関しては世界で最も「進んだ」国になるようです。憧れの世界で「いちばん」になるわけですね。人口構造というのは変化させるのに100年単位の時間がかかるものですから、このNo.1の地位はそう簡単には揺らぎません。社会の高齢化という局面に日本がどのように対処しどのような結果が出るのか、世界が注目しています。
高齢化社会というとネガティブなイメージを持つ人が多い。確かに「何となく活力がなさそう、暗そうな社会」といったイメージはありますよね。とはいえ、「何となく」では議論になりません。具体的に何が課題で、それをどう克服するかを考えていく必要があるはずです。
高齢化に伴うネガティブ要因の中でも最大のものは、労働力不足と社会福祉の問題でしょう。就労人口が減ることに伴って、仕事の担い手が少なくなり、製造業はおろか社会ニーズの高まる医療・介護・福祉分野などで労働力が大幅に不足することが予想されています。
同時に、全人口の中に占める就労人口の割合が低くなることで、社会福祉の「支える側」と「支えられる側」のバランスが大きく崩れます。2050年くらいになると、1人の就労人口が1人の非就労人口を支えるという構図になるのだとか。つまり、1人で2人分の生活を面倒見なくちゃならない。これは相当に厳しい。1人で使っていたものを2人で使いましょうという訳ですから、経済的な豊かさは現在と比べて目も当てられないほど低下すると見ていい。
労働力不足に伴う経済力の減衰とサービス低下、そして社会福祉のバランス崩壊に伴う貧しさが、高齢化社会に対するネガティブイメージの根源をなしているのですね。
これを打破する方法として議論されているのが、1.「移民の大規模な受け入れ」であったり、2.「定年の延長による『高齢者』の定義見直し」、あるいは3.「女性の労働力活用」だったりします。
1.は労働力を輸入しましょうという話。2.は高齢者そのものの定義を変えると同時に彼らを労働力にしましょうという話、3.は家庭の中にいる女性の社会進出を進めて労働力にしましょうという話。外から持ってくるか中から探し出すかの違いはありこそすれ、どれも労働力を増やすための方策として議論されています。
個人的には全部同時にやってしまえと思っているわけですが、特に3.については思うところがあります。家庭の中にいる女性が外で仕事をし労働力になる。「女性の社会進出」というやつですが、これには間違いなく「男性が労働生産性を上げること」が必要だと思うのです。詳しくは次回に書きたいと思います。
ちなみに、前半の人口構造の変化についてはこの本がとてもわかりやすく説明してくれていました。

2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)

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