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自分の思いを取り出し向き合う方法

ここ数週間は、日本に住んでいる僕たちの多くがいろいろなことを目にし耳に感じ考え、多くの思いや感情を抱いた時間だったのではないかと思います。

今回の災害は、単に「大自然の猛威」といった人知の及ばないところだけで片付けることのできない、「人間の所業」の結果として受け止めざるを得ない部分(原発の問題)があるという点で、これまでの他のどの自然災害とも違った様相を見せているのだという気がします。

そんな中で抱いた思いや感情といったもの。そのまま心の中にとどめ置いている人が多いのではないかと思いますが、僕としておすすめしたいのは、それらを心の中から取り出して陽の光の下に置いてみて、一度向き合ってみるということです。

人間というのは案外に不便なもので、心の中で思ったり考えたりしたことを自分自身はちゃんと把握し理解していると「思っている」のだけれども、実はそれができていないことが多いという動物です。何を考えていたのかを考えてみないと自分の思考が見えてこない、何を感じていたのか見直してみないと、自分の感情が見えてこない。

そこで有用なのは、やはり「書き出してみる」ということです。それも、デジタルデータとしてではなく、自分の手で書く文字として。不思議なもので、キーボードを叩いているのとペンを握って文字を書くのとを比べた場合、どちらが自分の心や頭の中を素直に取り出せるかというと、僕自身の場合はやはりペンの方なんですね。世代の違いもあるのかもしれませんので、僕よりも若い世代の人は一度両方を試してみるといいかもしれません。

何を書き出すのかといえば簡単で、ただ「今思っていること」「今考えていること」です。箇条書きよりは、考えている文章をそのまま書き起こすような文章スタイルがいいでしょう。絵や図が思い浮かんでいるのであれば、それをそのまま絵にしてみるのもいいかもしれません。何はともあれ、頭の中に浮かんでいるものごとを素直に文字にしていくという作業を黙々とするわけです。書き出しては読み返し、書き出しては読み返す。この繰り返し。

するとあら不思議、いつの間にかすっきりとしていることに気がつきます。ただ書き出しているだけ、読み返しているだけで何も付加的な作業はしていないのに、です。人間は確かに不便なものですが、こうしたちょっとした工夫をしてみるだけで、論理を積み重ねて納得するよりも遥かにシンプルに、遥かに深いところで、自分というものを理解できるんじゃないかと思うのです。