NHKドラマ「坂の上の雲」

12月に毎週放送されていたNHKのドラマ「坂の上の雲 第二部」の録画を、実家でまとめて観ました。
帝国主義という現代とは異なる価値観が世界を支配するなかで、小国日本とそこに住む日本人がどのようなメンタリティと行動でその道を切り開いて行ったのか、一つの視点が得られる作品です。
テレビ画面に目を注ぎながらも、つい考えてしまうのは現代日本との違いはなんなのだろう?ということ。
経済的な繁栄、安全、健康、経済格差の小さはなど、どれをとっても現代日本は明治期のそれと比較にならないほどの水準に達している。でありながら、「坂の上の雲」に描かれるかつての日本人の清々しい精神のあり様を見ていると、何だか羨ましい気持ちになってしまう。もちろんそれは小説でありドラマだからという面はあるでしょうが、現代が失くしたものの存在を感じさせるような何かが、そこにはある。
結果からみれば、日本という国の独立を守るということ(秋山好古秋山真之)や、日本の短詩に革新を起こすこと(正岡子規)に「坂の上の雲」の登場人物は大きく貢献することになります。しかし彼らはその道程において、高みにある白い雲の存在を強く意識するのではなく、ただ目の前の仕事に打ち込み、あたかも真夏に急な坂を登るように黙々と進んでいく。そうして進んでいくことに、迷いがない。清々しさを感じさせるのは、そんな姿なのではないかと思います。