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モチベーション3.0

今回から、今年読んだ中でおすすめの書籍について紹介していきたいと思います。すでにブログの中でコメントしたものもありますが、読後しばらく経ってみてから振り返ってみると、また違った感想があったりして興味深いものがあるはずです。
特に紹介の順序に意味はありません。ベスト1がどれかということを決めることにもあまり意味はないので、思いつくままに紹介していきたいと思います。
まずはダニエル・ピンク著「モチベーション3.0」。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

心理学を始めとする学問ですでに何年も前から明らかにされていながら、私たちの仕事の現場においては見過ごされてしまっている人間のモチベーションの真相について、事例や実験結果などを豊富に盛り込みながら軽妙な語り口で論じていく一冊。
今年は僕自身が仕事というものを考え直す時期にあったこともあり、何が人間を「Drive(原書タイトル)」するのかという観点に強く共感しました。本書の中で紹介されているモチベーションの3つの源泉たる「自律性(Autonomy)」「目的(Purpose)」「成長(Mastery)」、特に今年は二番目の「目的」について自分なりに考える機会の多かった一年でした。
自分が仕事を通じて達成したいこととは何なのか?社会に対してどんな価値を提供したいのか?仕事をする意味とは何なのか?来年には社会人10年目を迎えるわけですが、その前に仕事における「目的」について一度じっくりと考えてみたいと思っていたこともあり、この本が与えてくれた示唆は大きいものがありました。
思えば、モチベーションという言葉がここ日本で聞かれるようになったのはまだ最近ですね。僕の記憶の中では、サッカー人気が出てきた頃にテレビ中継で解説者の方が「選手のモチベーション」といった言葉を使っていたのが最初だったような気がします。どういう意味なのか、当時はよくわからず、辞書で調べても「動機づけ」という謎の言葉が書いてあるだけ。動機をつけるとは?と戸惑った思いが残っています。
日本が経済成長期のまっただ中にいた頃には、人々が仕事をする「動機」などというものは考えるまでもないもので、誰も気に留めなかったのかもしれません。価値観が多様化し、また物質的な充足感が必ずしも幸福につながらなくなった昨今に、ようやく人を仕事に向かわせる動機について考えるようになり、その結果としてモチベーションという言葉が注目されるようになってきた。言葉は世相を表すものですね。
最近思う事は、人のモチベーションの源泉たる3つの中で、特に「目的」についてはその変化にも着目する必要があると感じます。何に仕事の意義や目的意識を感じるかというのは、その人の置かれた環境や考え方、価値観の変動にともなって変わりうる。目的をころころ変えていては方向が定まりませんが、とはいえ頑なに一度決めた目的にこだわって自分の心の中の声を無視するようなことがあってはいけません。変化ということを視野に入れておくのも、またしなやかに生きる上では大切なことだと思います。
Kazuteru Kodera