悪と戦う

大学時代のゼミの友人きみちゃんから薦めてもらった高橋源一郎「悪と戦う」を読みました。

「悪」と戦う

「悪」と戦う

1歳半で目的語までついた立派な会話ができるようになった兄の「ランちゃん」。一方の弟「キィちゃん」は1歳半を過ぎても「だっだっだ」とか「どん!」とかいった言葉しか話さない。「パパ」も「ママ」もなし。でも、兄の「ランちゃん」は弟の言いたいことがなぜかすべてわかってしまう。そんな不思議な兄弟と、近所に住む女の子「ミアちゃん」が繰り広げるストーリー。
親の目線で読み進めていくと心が苦しくなるような場面も出てくるのだけれど、独特の軽快なタッチで綴られた文章はそんなグロテスクさを少し緩和してくれる。読み終わった後に、何とも言えない心に「ピトリ」と貼りつくような何かを残していく。そんな小説でした。
Kazuteru Kodera