iPadの発売が全世界で延期 またも"i"は世界を変えるのか

Appleの最新製品iPadがアメリカで発売され、アメリカを除く世界各国での発売を4月末に控えて全世界が注目する中、その発売日の延期が伝えられました。理由は過大な受注により生産が追いつかないため。
当初は「iPhoneが大きくなっただけ」といった冷笑も聞かれた同製品ですが、どうやら世界はiPhoneを上回る可能性をこの薄いボード型のコンピュータに感じているようです。以前のエントリでも、iPadの使い道について具体的に考えてみました。そこでは主にディスプレイの大きさがもたらすメリットについて考え、映像やテキスト情報を読むためのツールとしてかなり有用だろう、という話をしました。

アメリカでの購入者によるレビューでもそうしたコメントは多いようで、「もうiPhoneは小さくて見にくくて、操作する気にならない」なんてコメントもありました。人間にとって最適な画面の大きさなんてものは使用シーンによって異なるのでしょうが、パーソナルな環境で持ち歩く前提で考えた場合には、iPadくらいの大きさが妥当というこもなのかもしれません。

今回のAppleの新製品投入については、複雑な思いをしているメーカーもいるのではないでしょうか。iPadの原型ともいうべき「タブレットPC」は、2002年にすでにhpなどから発売されており、WindowsTablet Editionを投入するなどして後押ししていたのです。マウス操作に不慣れな人や、立ち仕事の人でも使えることを売りに浸透が図られました。

結果的には、価格帯が高めだったことなどが起因して個人ユーザーにはほとんど浸透せず、一部の業務用端末として細々と使われているという現状。これが一転iPadとしてAppleの手にかかったことによって大変身を遂げたわけですから、もともとのタブレットPCを手がけていたメーカーとしては複雑な感情を禁じ得ないといったところでしょう。

とはいえ、だからといってiPadを「物まね」となじる資格はありません。製品の見てくれは似ていても、そのコンセプトを新しい次元で構築しなおしたAppleにこそ賞賛が送られるべきでしょう。「物まね」に見えながら実際のところ全く新しいビジネスを作り上げている。そんな事例はまた後日考えて行きたいと思います。

Kazuteru Kodera