新興国の衝撃 7 心が満たされているということ

(6.受容力 に続いて)

7.内的豊かさ

日本全体に漂う閉塞感のようなものは、日本を訪れて間もない外国人にも感じることができたようでした。「電車の中で見かける日本人はあまりハッピーに見えないが、どうしてか?」といった質問を受けたり、自殺が多く、過労死などという言葉もあるということなどに、非常に驚いていました。

新興国の彼等からみれば、何不自由なく豊かに暮らしているように見える日本人。外見からは見えない内的豊かさの点では、実は貧困層なのかもしれません。

この現象にはいろいろな解釈ができると思います。物質的豊かさを手に入れて目標を見失ったから、政治が将来のビジョンを示せていないから、経済が伸びていないから、子供が少ないから、などなど。

こうしたいろいろに共通しているのは、「未来は今よりも素晴らしい」という気持ちを持つことができていない点にあるのではないかと思います。あるいは、「未来を今よりもよくしよう」という気持ちを持つことができていない。そもそも、今よりも素晴らしい未来とはどういうものなのか、多くの人は思い描けないし、言語化もできない。それが不安感や閉塞感につながっているように思うのです。

新興国の人々には、「未来」の姿はクリアに見えている。我々には、どうも見えていない。これが彼我の内的豊かさの違いの大きな要因なのではないか、と。

Kazuteru Kodera