MBA的フレームワークは何のために存在するか 独自性なきものは生き残れない

MBAであったり戦略コンサルティング会社の分析手法であったりが、書籍やセミナーの形でたくさん世に出るようになってしばらく経ちました。以前はMECEとかSWOTとか言っただけで何となく賢そうに思われたのに、最近では「そんなの知ってる」といった反応をされてしまう、そんな世の中です。
横文字の分析手法は、その多くがフレームワークと呼ばれる者ですSWOTであば、強み、弱み、機会、脅威の4つを使って事業戦略を考えるもの。3Cといえば自社、顧客、競合の3つといった形で、何かの情報を整理したり意思決定をしたりするときに、「これを抑えておきなさいよ」という一つのガイドのようなものです。
横文字の格好良さと何となく賢そうなイメージから、こうしたフレームワークを使うと優れた分析ができたり正しい意思決定ができるという気がして来そうですし、実際にやたらとフレームワークを使いたがる人がいることも事実ですが、フレームワークが正しい答えを導くという話、これはまったくの幻想です。
フレームワークを使うだけで正しい答えが見つかるのなら、戦略コンサルティング会社はコンサルティングなんてしないでもっと大きなビジネスを始めて成功しているでしょうし、MBAホルダーは皆、偉大な経営者になることでしょう。そうなっていない現実が、何よりもそういった話が幻想であることを裏付けています。
それではフレームワークを学ぶことの意味とは何なのでしょうか?
それは、「多様な視点で、漏れなくビジネスを眺め考えるためのツールである」ということです。
人間の情報収集や分析は、一部の視点に偏ることがよくあります。自社の都合しか考えずに顧客を見ない。自社の製品は抜群だと信じて競合を見ない。弱みの改善にばかり気を取られて、強みの存在に気づいていない。そうした事例には枚挙に暇がありません。
フレームワークは、先人や研究者が過去の事例を分析した結果として、判断に必要になる要素を漏れのないように表現したものです。従って、視点を多様にしてビジネスを眺めるには有効なツールなのです。
ただし、それは必要条件ではあっても十分条件ではありません。フレームワークで視点を多様化した上で、どのような付加価値をビジネスの上に築き上げて行くのかという独自の発想力と、構想を実現していく実行力とがなければ、調査も分析も意味がありません。
そうした発想、構想は経験やひらめきといった右脳的な要素を多分に含みますし、人間を動かして現場のビジネスを走らせて行くにはリーダーシップが必要です。そうした要素こそが、実際のビジネスにおいてはその成否を握っていたりします。だからこそ、フレームワークは単にツールにすぎないという話になるのです。
Kazuteru Kodera