ニッポン丸からの脱出 未来を見据える個人の選択

日本は現在のところ、世界第二位の経済大国で、世界第9位の人口を抱える大国です。地理的な小ささから日本を大国と呼ぶのは違和感があるかもしれませんが、この小さな国土で世界トップ10に入る人口を養い、経済規模はもちろん、その洗練されたインフラ、サービスなど、まず間違いなく大国のそれです。
ところが、どうもそんな大国である日本には元気がなく、将来は暗いという見通しを多くの人がもっています。高齢化の進行と人口の減少というのが大きな要因で、2025年には70歳代が人口の最大セクターになるという状況。いくらお年寄りは元気だといっても、若者のいない国に活力は生まれませんし、我々の生活を支えてくれる様々なインフラや、経済を引っ張って来た企業の生産に従事する人間がいなくては、自ずと国の経済社会の勢いは失われます。昨日書いた日本企業の競争力喪失という問題はあくまでも企業個々の問題ですが、こちらは国としての問題です。
それならば、生めよ増やせよとかつての戦後間もなくの頃のようにキャンペーンを張れば解決するかというと、そういうものではありません。人口動態というのは毎年の積み重ねですから、仮に今年から子供が増えたとしても、2025年の状況というのは大きく変わらないのです。ましてや、少子化に歯止めがかからない中、そんなキャンペーンが成功する見込みはありません。
どうやら日本に残されている選択肢は、移民を大量に受けいれて、社会インフラや企業の労働力として活用していくことしかないようです。
ところが、これにも課題は山積。移民に対する日本語教育や、受け入れる側の国民に対する文化的多様性への寛容さの醸成など、短期的な打ち手では解決できない課題がたくさんあるのです。足りなければ輸入しろ、という単純な話ではないということですね。
日本が高度に成熟して、社会としての活力を失っていく中、一体どうしたらいいのでしょう?
一つの選択肢は、ニッポン丸から脱出するという考え方です。上記のような、日本が失いつつある活力をたくさん持っている国というのは世界にいくらでもあります。同じ先進国のアメリカやオーストラリアでも、移民受け入れ策によって人口は伸びていますし、若者の比率も高い。これからビジネスやプライベートでも充実した生活を送ろう、チャレンジしようという人ならば、そうした日本以外の先進国は一つの選択肢てしょう。
また、もっと刺激を求めるのなら、発展著しい途上国、新興国に進み出て、その高い経済成長の果実をものにするというのもいいでしょう。そんな国々では、日本で当たり前になっている商品やサービスの需要が、これから爆発的に増えていく可能性があります。一見難しそうな市場ですが、高度に洗練された日本の消費者を満足させるために凌ぎを削り要らぬ消耗を強いられるくらいなら、そうした成長市場でチャレンジするというのも十分に現実的な選択肢になるのではないでしょうか。
そんな「ニッポン丸からの脱出劇」、もはや遠い夢の世界のことではありません。明日は、そんな脱出劇にどのような道具(スキルなど)が必要になるのか、考えてみたいと思います。
Kazuteru Kodera