あなたのコアは何ですか? BPOの発想を個人に

ビジネスでは、自社の得意なことに資源を集中して、それ以外の分野は専門の業者にアウトソースすることがあります。例えば、Appleはデザインと製品設計、マーケティングに特化し、製造は世界中の企業に委託しています。ナイキも同じで、ナイキ製の靴というのは世の中に存在しません。
以前は、コールセンター業務をアウトソースするとか、経費処理をアウトソースするとかいったふうに、特定の「業務」のレベルでアウトソースがされていました。しかし近年では、「製造」や「人事」といった、ビジネスプロセスの一部を丸ごと外部に委託するという、より大胆なアウトソースが進んでいます。冒頭のAppleのような事例ですね。これはBusiness Process Outsourcing(BPO)と呼ばれます。
企業におけるこのBPO、個人に適用してみたらどうなるのでしょう?
経済学の教科書に出てくる比較優位という考え方があります。一時間のCM撮影で200万円を稼ぐアイドルは、1時間かけて部屋の掃除を自分でするよりも、5,000円支払って家政婦を雇って掃除してもらったほうがいい。そんな考え方です。ここでいえば、アイドルは部屋の掃除という、自身のコア業務でないものをアウトソースし、そこで浮いた時間を仕事に使ったほうがいいということになります。
あなたの場合はどうでしょう?一日24時間という限られた時間を与えられているわけですから、自分が価値を生み出せる、あるいは将来大きな価値を生み出すために必要なことに、少しでも多くの時間を使ったほうがいいでしょう。掃除をしている場合ではありません!!
こんな発想には、ちょっと違和感がある人も多いはずです。でも、世界の国々の中には、ちょっとした収入のある人は家政婦を雇うのが一般的、という国もけっこうあります。家政婦を雇うコストそのものが安いというのもありますが、家事に時間を使うよりも家族との時間やレジャーに使う、あるいは仕事をする。そんな考え方なのです。
もちろん、そうしたアウトソースには現実的な制約もあります。自分がアウトソースしたいと思う作業を請け負ってくれる相手がいなくてはいけないし、そのコストを支払えるだけの経済的な力も必要です。
ただ、常に「自分のコア」に意識を向けておくことで、日常の時間の使い方が変わってくるような気がします。

Kazuteru Kodera