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出口戦略を作るということ

リーマンショック後の景気低迷を打破するために、各国が緊急経済対策を打ちました。とにかく緊急なので、平時であればありえないような金融安定化策をとったわけです。それを、平時の状態にいかに戻すか。これも出口戦略です。英語でExit Plan。
ある状態から脱するための計画、戦略が出口戦略といってもいいかもしれません。今日のお話は、そんな出口戦略についてです。ただ、景気対策の出口戦略ではなく、企業の出口戦略について。
アメリカはアントレプレナーシップ、つまり起業することに対して積極的な風土があります。大企業で働くよりも、起業することが賞賛される。大学を出てすぐに起業する若者も日本よりはるかに多いようです。
大学院で起業に際しての事業計画について学んだのですが、そこで驚いたのが、その計画の中に「出口戦略」が出てくることでした。つまり、起業をするにあたって、いかにその事業を手放すかについても計画をしておけというのです。上場させる、売却するなどの戦略が例として挙げられています。
企業のオーナーが会社とともに歩み、あたかも一心同体であるかのように考えるのが一般的な日本の文化からみると、いかにも不謹慎というか、違和感のある考え方ですよね。売却するために会社を作るのか、と。
しかし、冷静に日本の中小企業の状況をみるにつけ、出口戦略というものの必要性を理解できるようになりました。起業と同時である必要は必ずしもないにしろ、なるだけ早く、創業者あるいはオーナーは出口戦略について考え、結論を出しておくことが望ましい。
中小企業の多くは、オーナー一人の力量で経営されているといっても過言ではないくらい、オーナーに依存しています。オーナーの方も、事業を育てるためにがむしゃらに努力をしています。それ自体は悪いことではありません。しかし、オーナーが引退の時期を迎えたとき、あるいはなんらかのアクシデントでオーナーが働けない状態になったときにどうするかについて、ほとんどのケースで考えたこともないというのが実情です。ここに、出口戦略の必要性があるのだと思います。
オーナー不在になったとき、その熱い思いと高い能力を失ったときに会社をどうするのか。それを考え、それに向けた準備をしておくのは、従業員の生活を預かるオーナーの責任と言ってもいいかもしれません。つまり、出口戦略を考えるのはオーナーの責任なのです。
出口戦略の如何によって、どんな準備をするかはまったく異なります。そして、そうした準備には時間がかかる。事業売却を検討するなら会社の価値を高めるために利益を出していく必要がありますが、相続するのなら逆に利益は少なくしておいた方がいいということになります。真逆です。
社員の中から後継者を見出すのであれば、長期にわたる教育・育成が必要。外から経営者を連れてくるのであれば、早めに採用して業界に慣れてもらったほうがいいでしょう。
こうしたこと全てを起業の際に見通して、いつでも手を打てるように検討しておくのが、起業家にとっての出口戦略なのです。
日本の中小企業が後継者問題に苦しんでいるのは多くの人が認識している事実です。それは、長年にわたってオーナー一人が獅子奮迅の働きをしながら、出口戦略については目をつぶっていたことが招いた結果と言えるかもしれません。

Kazuteru Kodera