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 新卒採用のギャンブル性について

大学性新卒の就職内定率の低さが話題になっています。企業が業績の悪化を受けて採用を絞り込んでいるのが理由です。需要が少ないので供給過剰になって売れ残りが出てしまうという、商品の販売と同じ現象です。
僕は、景気が悪くて業績が悪いから新卒採用を減らす、という企業の行動には賛成できません。というのも、若い人材の採用というのは将来を見据えて行うものだからです。将来的に事業を縮小する予定だから減らすというならわかりますが、足元の業績が悪いから減らし、良くなったら増やすというのは人材戦略としてどうなのか、と思うのです。
もちろん採用や若手の教育には金がかかりますから、そのコストを減らしたいという気持ちもわかります。でも、こと人に関してはそうした近視眼的な収益勘定とは切り離して考えるべきでしょう。
実は、僕は企業の「新卒採用」という制度そのものに少し疑問を感じています。日本の企業は、あまりにも盲目的に、当然のこととして新卒採用を行っていますが、果してそれでいいのかな、と思うのです。
新卒採用には、メリットもあればデメリットもあります。それをきちんと考えた上で、本当に必要な人材を採用していくというのがあるべき姿ではないか、と。

メリット
潜在能力の高い人材を他社に先駆けて採用できる(可能性がある)
他社の色がついていないまっさらな人材を採用できる

デメリット
教育コストが中途採用に比べて高い
育成に時間がかかる

ここで気になるのは、最大のメリットであるはずのポテンシャル人材の採用という点が、確実ではなくギャンブルであるということです。
何度かの面接だけで、その人材のポテンシャルを測ることは困難で、企業は必ずしも新卒採用のメリットを享受できるとは限りません。それに、他社に先駆けて採用できたとしても、彼等が育った後に他社に転職しない保証はありません。
こう見てくると、新卒採用というのは、ポテンシャル人材を雑多な応募者の中から見極め、彼等をその能力を発揮できるように育成し、しっかりと自社につなぎとめる自信のある企業、あるいは、そのギャンブルに果敢に挑んで人材を確保したい企業だけが行えるものだという気がしてきます。
それができる自信がないのなら、まっさらな社会人をいたずらに翻弄するのはやめにして、若手の中途採用に力を入れたほうがいいのではないでしょうか。景気の波に翻弄される学生も不幸だし、内定率が上下することに大騒ぎする日本社会も不幸です。


Kazuteru Kodera