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 育児は母親の仕事か

ヨメが面白い本を買いました。強く薦められて僕も読んでみました。

経産省の山田課長補佐、ただいま育休中 (文春文庫)

経産省の山田課長補佐、ただいま育休中 (文春文庫)

経済産業省のキャリア官僚である山田課長補佐が、育児休暇をとって子育てをした際の体験を綴ったもの。男性が育児に取り組む姿と心の描写がリアリティ溢れ、楽しく読めると同時に考えさせられるところも多い一冊です。
双子の兄妹をすでに持つ山田夫妻、3人目の男の子が生まれたとき、今回は奥さん(同じくキャリア官僚)ではなくダンナさんである山田課長補佐が育児休暇を取ることを決めます。双子の育児休暇から復帰して間もない奥さんは仕事がピークの時期で、休みたくない。一方のダンナさんは仕事の都合がつけられたのと、何より育児を自らしたいという意欲があった。
そこから、彼の「母親にできて父親にできないことは『おっぱい』だけ」という信念にもとづく育児が始まります。
朝ごはんの支度をし、上の兄妹を保育園に送り届け、妻を送り出し、家の片づけや掃除をしながら赤ちゃんのミルクや寝かしつけ。夕方には買い物に夕食の準備、保育園のお迎え。保育園のスタッフにも最初は怪訝な顔で見られ、周囲の母親とも打ち解けられず苦労しながらも、次第に「育児パパ」としての充実感や感動に目覚めていく。そんな様が軽妙なタッチで描かれています。
そんな中で山田課長補佐に突きつけられたのは、「育児は母親がするもの」という社会の固定観念でした。同僚からは「一日中いったい何してるの?」と好奇と勘違い(育児をしていたら暇なんてない)に満ちた質問を投げかけられ、「出世は大丈夫か?」と心配され、保健士からは「お父さんが育児してるの?」と何度も確認され・・・。
「最後は母親には勝てない」とは世間でよく言われる男性からの諦めの言葉ですが、彼はとうとう「パパと寝る!」といった子供たちからの愛情を勝ち取っていきます。子供にとって必要なのは、必ずしも「母親」ではなく、きちんとそばで接してくれる愛情ある親の姿(父か母かは関係ない)なのだということを、実体験の中から紡ぎだしていった山田課長補佐。育児休暇をとって本当によかった、と振り返っています。
Kazuteru Kodera