アウトレット人気の光と影

お台場のビーナスフォートにできたアウトレットに出かけてきました。都心部に作られた初めてのアウトレットモールということで、開業当初は注目を集めた場所です。
http://www.venusfort.co.jp/index.html
アウトレットモールとしては小規模なものですが、入居しているお店はユナイテッド・アローズをはじめとして「アウトレット初進出」など話題性の高いところに絞り込んだ様子。都心型アウトレットの成功事例として取り上げられることが多いようです。
僕が出かけたのは土曜日の夕方。確かに人出は多いのですが、大人気というほどのものではありませんでした。ベビーカーを押しながらの買い物でしたが、それほど大変な思いをすることもなく、淡々と買い物をすることができました。
印象的だったのは、廊下や店内にはそれなりに人が歩き回っているのですが、レジの前にはほとんど人がいないということ。つけられている値札は確かに正規価格の最大70%といった形で大幅な値引きがされているし、品物だって悪いものではない。それでも、レジはガラガラ。これをどう解釈すればいいのでしょうか。僕が見たのがたまたまそういう時間帯だったのかもしれません。それでも、歩き回っている人と購入している人との人数の差異があまりにも大きかったような気がするのです。
ふと思うのは、「アウトレットモールが観光地化している」ということ。ショッピングではなくルッキングを楽しみながらデートをして、近くのレストランで食事して終わり。そんな形になっているのでは?ということです。
アウトレットは出店側にとっては諸刃の剣です。もともとはワンシーズン前のモデルや訳あり品を販売するアウトレットですから、売上が立って出店コストを上回ることができればOKと思われがちですが、実はそれだけではマズイ。正規品よりも大幅な安値で販売するわけですから、ブランドイメージを損なう恐れもあるし、何より正規品を買うはずだった人がアウトレット品を買うことになれば、共食い・収益減少につながります。そんなリスクを補って余りある利益があると見込むからアウトレットに出るわけです。
そこで上記のレジ状況。うーん、と考え込んでしまいます。ブランドイメージというアパレルにとっては何よりも大切なものを危険にさらしてまで実行する打ち手なのかどうか。今後ひょっとしたらアウトレット減速という時代が来るのかもしれませんね。
Kazuteru Kodera