子どもへの投資が社会をよりよい場所に

一言で「投資」といっても、いろいろな形の投資があります。株式に投資する株式投資、不動産に投資する不動産投資、企業が機械などに投資する設備投資などなど。投資というのはつまり、将来の利益に向けて今お金を使うことです。何かモノやサービスを買うというのは、今の利益(満足感や利便性)に対して今お金を使うこと。投資と消費は、利益を享受する時間軸の点で異なるのです。
今日お会いした経営者の方のお話。彼はお子さんが生まれて以降、何か自分の欲しいものがあっても我慢し、お子さんの教育投資に充ててきた、とおっしゃっていました。お子さんに質の高い教育を授けることで、社会に貢献する人材となり、社会がよりよい場所になる。そんな思いがきっとあったのでしょう。
教育投資、という言葉は耳慣れないものかもしれません。でも、冒頭に書いた「将来の利益に向けて今お金を使う」観点から考えれば、教育はまさに投資です。教育によって人(大人も子供も)が成長し、やがては投資した人、そして社会に利益をもたらしてくれる。利益というのは金銭に限りません。その人の作りだすあらゆる価値がここでいう利益なのです。
教育への投資は、いろいろな投資の中でも最も長期的なものです。投資した結果がすぐに返ってくるというものではありません。10年・20年、ひょっとすると50年先になって返ってくる、そんな種類のものです。だから、投資をする側にもそれなりの覚悟と思いが必要になるのだと僕は考えています。もちろん、すぐに利益の出る教育投資もあるでしょう。テストに備えた緊急的な準備勉強に時間を投資するというのも一つです。でも、それは本当の意味での投資というよりは、投機という方が近いかもしれません。
こんな言葉があります。

一日を楽しもうと思うなら、物を作りなさい。
一年を楽しもうと思うなら、田畑を耕しなさい。
百年を楽しもうと思うなら、人を育てなさい。

うろ覚えの言葉ですが、教育というもの、人を育てるということがいかに長期的な視野を必要とし、一方で長期的な楽しみ・満足を与えてくれるものであることを教えてくれました。