ぶら下がり現象を克服せよ

組織行動学では、「個人と集団」をテーマにした研究が多くなされているそうです。その中に「ぶら下がり現象」という病理が説明されています。
本来集団というのは、個人の力では達成できない大きな物事を達成するために作られたりするものなのですが、その集団の力に安心し気を緩めた個人が努力をしなくなり、「集団にぶら下がる」現象が起こってしまう。結果として、集団のアウトプットが個人のアウトプットの総和よりも小さくなってしまう、というのです。
集団に個人がぶら下がるようになるから、「ぶら下がり現象」。面白いネーミングですね。
一方、高い業績を上げる集団には、そうした現象は見られないもの。むしろ、個人のアウトプット同士が相乗効果(シナジー)を起こすことによって、集団のアウトプットは個人のアウトプットの総和よりも大きくなります。ここにこそ、個人が集団となって物事に取り組む本来の意義があるんですね。
理論的には、そうしたぶら下がりを取り除くにはいくつかの要件があるようです。

メンバーに集団の目的・目標を明確に伝わっていること
メンバーに目標に向かう手法について明確に伝わっていること
メンバー各自に目標の達成責任を与え、それが明確に伝わっていること

メンバーひとりひとりが目的を理解したうえで責任を分担することで、メンバーを「欠かせない一人」にすること。それが鍵だというんですね。
ここでは、「伝わっている」という点がポイントになると思います。口で言っただけでは伝わらないケースも多い。集団を率いるリーダーが、いかに伝えるか。伝わるような伝え方をするか。資質が問われるところですね。