税金は払わなければいけないが

一国の首相が家族ぐるみで脱税していたという事実が明るみに出ようとしているようです。政治資金を提供していたというと聞こえはよかったし、「まあ子供の仕事を資金面で支援するのは当然か」というような感想を持っていたのだけれど、政治にかかわりのない姉にも「資金提供」されていたとすれば、それは明らかに贈与です。
記事「首相の姉にも「生前贈与」? 相続税逃れの「疑惑」浮上」
ところで、税金って払わなければいけないんでしょうか?という疑問を持つ人もいるでしょう。僕もそんな疑問を持つ人間の一人です。でも、その問いかけに対する答えは、どう考えても「YES」です。払うべき税金を払わないというのは明確な違法行為ですから。
税制に対する批判は当然ですし、日本という国がおかしな税制を持っているのは事実だと思います。ただ、それと法律を守らないという話とは全くの別問題。日本の税制に賛同できない人は、それを無視して脱税すべきなのではなく、納得のいく税制を持つ国に移住すべきということになります。
個人的に日本の税金に賛同していない部分を挙げるとすれば、それは贈与税と相続税が一番でしょう。ほかにも妙なところはありますが、この二つは決定的におかしい。「所得税を一度納めて、個人の財産として認められたお金」に対して、それを私人間(つまり国家とは関係のないエリア)で移動させるというのに、国家がそこに介入して上前をハネていく。これはどうも国家の過剰な介入と思えてしまうのです。
贈与と相続に対して無税にしてしまうと、階級が固定化して社会が二極化してしまうという議論はもっともだと思います。しかしだからといって国家が個人の財産を見張りその多寡に神経を尖らし、「プレゼント」に課税するというのは違和感がある。二極化・固定化を回避するのであれば、財産がなくても努力と才能で社会的・経済的に成功できる仕組みを作るというのが第一ではないか、と思ってしまうのです。
税金というのは、国家と個人との関係づけを規定するとても重要な制度です。その態様がどのようなものになっているか。もっと目を向けていかなければいけませんね。それが気に入らないのであれば、国家を捨てて「家出」するというのも、選択肢の一つです。