デザインが生み出す価値 ハイコンセプトの世界
ものづくりに関わる仕事をしてきた中で学んだことの一つ、それは「デザイン」という言葉の奥深さでした。
デザインというと、ファッションやインテリアなど「オシャレ系」に関わるもの。モノの本質とはあまり関わりのない、外観の美しさに関するもの。これが僕が以前に持っていたデザインのイメージでした。「デザイナー」と世間一般に称される人たちが、ファッションショーなどでおよそ実用的とは思えない衣服を誇らしげに展示する不思議な光景に違和感を持っていたせいかもしれません。
現在は「デザイン」という言葉の持つイメージは完全に別のものになっています。きっかけになったのは、一人の機械設計技術者の方の言葉でした。
よくできた機械は、カッコいい。機能を徹底的に追求していくと、デザインも洗練されカッコいいものができる。
自身を「機械デザイナー」と定義していた彼は、こんな信念の下に仕事をしていました。
機能を妥協なく追求した先に、本当のデザインがある。それを教えてくれたもう一つの存在は、AppleのiPhoneです。以前のエントリー「iPhone所有がもたらしたもの」でも書きましたね。
こうした本当の意味でのデザイン性というものが、どんどんと価値を増しているのが現代です。必要な機能を満たしている商品が安価に手に入るのは当たり前。そこに、所有者の価値観と共鳴し「持っている喜び」を与えることのできる優れたデザインを備えた商品だけに付加価値が認められる。
これから何か商品やサービスを生み出すのであれば、そこに本当の意味での「デザイン」が込められているか、妥協なく見つめる視線が必要です。でなければ、外国で安価に作られた「機能的商品」に淘汰されてしまうことになります。
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2006/05/08
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