What a coincidence!

「何たる偶然!!」という出来事があるとき起こって、それが人の人生を大きく変えてしまうなんていうことがあります。歴史に名を残したような偉大な人物に限らず、誰しもそういった経験が大なり小なりあるのではないでしょうか。特に、人との出会いというのはこうした「人生の変化を呼ぶ偶然」の大きなものだと思います。あの時あの人に出会っていなかったら、今の自分はなかった、という台詞は、それがポジティブな意味であれネガティブな意味であれ、よく聞かれます。
ある人とある人とが偶然に出会う確率なんて天文学的に低い数字なわけですから、単に数学的に考えれば「それはたまたま。そこに意味なんてない」ということになるでしょう。たまたまバーのカウンターで隣り合った女性と恋に落ちて「これは運命だ!」と話す人に対して、「それって、地下鉄で汗臭いおじさんと隣合うのと同じだよ。運命なんかじゃない」と言ってしまっては元も子もないのと同じように、人の出会いをドライに数字で割り切るのは妥当でない気がします。
やはり、そこにはなんらかの「意味」があると信じたいし、そう信じる人にとってのみ出会いが意味を持つことになるのではないか、とも思います。目的を明確に持って毎日を生きている人には、その目的を助けてくれる人が自然と寄ってくる、という話がありますが、これは「寄ってくる」のではなく、「近づいたことに本人が気づく」という要素のほうが大きい。
目を閉じて、「赤いものを探そう、赤いものを探そう」と念じてからふと目を開けると、部屋の中にある赤いものが自然に目に飛び込んできます。普段の生活では気づきもしなかったようなところに赤いものが見つかったりするものです。「探そう」という目的をもって目を見開くことで、目的なく眺めているときには見えなかったものが見えてくる。人との出会いというのも、そういうものではないでしょうか。目的をほんの少しでも意識していると、その目的の達成を助けてくれる人への感度が高まり、普段なら見過ごしてしまうほんの小さな接触が「出会い」へと昇華される。
つい先日、そんな経験をしました。隣に座った方がたまたま僕自身がとても関心を持っている分野で活躍されている方で、僕の目指したいと考えているキャリアをそのまま体現したような方だったというような経験。名刺を見、その方がライフワークにされている仕事の内容を聞いたときの喜びといったらありませんでした。
そうした出会いに触れたときにすべきだと思うのは、躊躇せず自分の思いを伝えること。「あなたは私にとってのキーパーソンです」ということを遠まわしにでも伝える。そうすると、歯車がカチリと音を立てて動き始めるのがわかるような気がします。たとえばそのキーパーソンからその後に連絡が来たり、新しいキーパーソンとの出会いを助けてもらえたり。そうしてどんどんと「What a coincidence!」という歯車が重なっていき、大きな運命とでもいうべき時計を動かし始める。
そんなことが書いてある本を紹介します。

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

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リーダーシップの旅  見えないものを見る (光文社新書)

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シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ

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