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 オープン・ブックは創造性を育むか

最近知った言葉に「オープン・ブック(open book)」というのがあります。学校のテストなどで教科書やPCなどを「持ち込みOK」にするというテスト方式のこと。日本ではあまりお目にかかりませんが、海外ではけっこうあるようです。
私は通信制の大学院で勉強をしているのですが、テストはすべてこの「オープン・ブック」です。当たり前ですよね。自宅でPCの前に座って答案を書くわけですから、教科書を見ようがネットで検索をしようが、大学側はチェックできません。制限時間(3時間)の間に、与えられた問いに対する自分の考えを文章でまとめてアップロードする、という試験形式です。
この「オープン・ブック」、自分自身で経験してみて本当に優れたテスト方式だなぁと感心するとともに、日本の教育でもどんどんこうした方法を取り入れていってほしいと思うようになりました。日本の教育における暗記重視・知識偏重は批判を受けて久しいところですが、それに代わるものとして、「オープン・ブック」型のテストを全面的に導入しそれに対応した教育をするというのを検討してみては?と思う次第です。
「オープン・ブック」導入が教育にとってどんな点で優れているかというと、

・統合力が鍛えられる
教科書やネット上にある情報・知識を前提として自分の考えを組み立てていく必要があるため、情報を統合する力を鍛える教育が必要になります。
・創造力が鍛えられ、ユニークさを尊重する姿勢が生まれる
情報量をどれだけ詰め込んでも他人との差別化ができませんから、集めた情報から「何を考えるか」の創造力と、「人と違った独自の視座を持つ」ユニークさを育む必要が出てきます。
・情報処理スピードが向上する
限られた試験時間の中で必要な情報を書物やネットあるいは自身の記憶の中から探し出してくる必要があるため、日ごろから情報処理スピードを鍛えておく必要があります。

こうした要素はいずれも現代の日本の教育が輩出する人材に不足していると指摘されることが多い項目である気がします。
ただ、「オープン・ブック」の制度だけを導入しても上記のような「効果」が出るとは思えません。そうしたテストをするには、テストする側の力量も問われます。また、そうしたテストに対応できる能力を養うために日ごろからどんな教育をすればいいのかについては、さらに多くの課題があるはずです。教える側・テストする側も、教えられる側以上に考える力と、他人が考えた内容をしっかりと評価する力を持っていなければいけません。これは思いのほか難しいことだと思います。
まずは教える側が、「オープン・ブック」流に十分対応できる力量を身につけていなければいけない、となると、本当に教育システムというのは作り上げるのに時間と知恵がかかるものなんだなぁ、と思ってしまいます。