人事異動のアカウンタビリティ

フリーの方や創業者の方は別として、「人事異動」というものを経験されたことのある方は多いはずです。そのとき、どんな感想を持ちましたか?異動の主人公は誰だと感じたでしょうか?会社?自分自身?
昨日から人事戦略関連の本を何冊か読んでいます。その中でひとつ引っかかりがあったのが、この「人事異動」というもの。理論的にはいろいろと意義深いことが書いてはあるし納得感もあるのですが、実際の企業においての運用を見てみると果たしてどうだか。。。異動の主人公が「自分自身」という思いをもって異動するケースがどの程度あるのか。。。
「会社の命令だから仕方なく」というケース、あるいは、「イヤだった職場から偶然異動になってよかった」というケース。個人としての思いはポジティブ・ネガティブ双方ありこそすれ、そこにあるのは「企業主導」という大きな厚い壁。そんな気がしてなりません。
何がそうした「社員がハンドルを握っている感」の欠如を生み出すかといえば、ひとつ大きな要因はアカウンタビリティの欠如ではないか、と思います。部署を異動するとき、今回の異動で社員に期待すること、果たしてほしい役割、果たしてほしい成長、そしてその先のキャリア計画、、、といったことについて上司や人事セクションと話し合ったりする例があまりない。そんな会社が多いために、私自身がこうした感覚をもっているのではないか、と思います。それが本当だとすると、日本の企業というのはまだまだ「社員は会社の所有物」的感覚が強いのではないか、などと疑ってしまいます。
ひょっとしたらこれは私が経験したアンラッキーな人事異動がもたらしたネガティブな感情なのかもしれません。でも、私の周囲で異動を経験した人が、目を輝かせてその話をするという例にはあまり出会ったことがありません。(ポストチャレンジなどで自分から手を挙げて異動した人は別ですね。)
昨今では、昇進・昇格という形を伴う異動ですら本人が希望しないケースもあるといいます(偉くなりたくない人)。仕事に求める価値観が多様化している昨今だからこそ、人材を処遇するにあたってはアカウンタビリティという要素をきちんと盛り込んだ制度・仕組みが必要ですね。