ミステリに浸かる

年末から正月にかけて、読書はすべて小説、それもミステリを読むと決めていました。その誓いを見事に果たして6冊を読了。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)

探偵ガリレオ (文春文庫)

予知夢 (文春文庫)

予知夢 (文春文庫)

いずれも東野圭吾のガリレオシリーズ。映画「容疑者Xの献身」がとても面白かったので、その小説をという気持ちでシリーズ第三作にあたる作品から読み始めました。
それぞれ1日ずつで読み終えてしまい、当然気になるのは2刊同時に出版された新刊書。
ガリレオの苦悩

ガリレオの苦悩

聖女の救済

聖女の救済

「ガリレオの苦悩」が短編集なのに対して、「聖女の救済」は長編です。
ミステリ小説をあまり読まない僕にとっては、ミステリ=「トリックを楽しむもの」」というイメージがあるのですが、どうやら最近のミステリ小説は違うようですね。
殺人・トリックという要素はもちろん重要な部分を占めてはいるものの、殺人という衝撃的行動に至るまでの人間の行動・心理・感情の動きや、それを惹起する現実世界のさまざまな出来事。その哀しさにスポットライトを当てている。
時として悲恋小説のような切なさを覚えさせられるのは、きっとそうした物語の展開によるものなのでしょう。
ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

このミステリーがすごい!」第一位に選ばれた作品。以前に同じ著者の「オーデュポンの祈り」という小説を読んだことがあったので、そのつながりもあって晦日に購入。こちらはガリレオシリーズとは違い、首相暗殺をめぐる陰謀に巻き込まれ、犯人として国家権力に追い詰められていく主人公を描いたもの。
自分の力では立ち向かいようのない「大きな力」の前にどんどんと追い詰められていく主人公。そこには、ハリウッド的な楽観論やヒーロイックな爽快感を一切排除した冷徹な物語展開が待っています。映画化されるかもな、と思わされるスケールの大きな一冊でした。