続・UNIQLO見聞録 不景気報道の功罪

UNIQLOの店内で僕が気づいたもう一つのこと。それは、来店客の客層に占める中年以上の女性の比率が60%を超えているだろうということ。ひとつ前のエントリーで「推論」として書いた内容は、この年齢層について考えた上で「やっぱり」と自分なりに納得したものです。だって、この年齢層の人たち=昼間にお茶の間でテレビの「大不況報道」に浸された人たち だから。
そもそも、仮にテレビで「平成大不況」「リストラの嵐」といった報道がまったくされていなかったとしたら、こうした中年以上の女性たちの何%が不況について「実感」を持つでしょう?さらに、実感を持ちえたとして、その何%が、実際に購買行動を変化させるでしょう?
もちろん、ダンナさんの会社の業績について夕食時の雑談で聞いたり(この世代の人たちは夫婦の会話がとても少ない、と言われている層ですが・・・)はしているかもしれません。でも、そうした身内の話から自分の衣料品の購買行動を変化させるまでの影響を一足飛びに受けるでしょうか?
ちょっと穿った見方かもしれませんが、TVの「大不況報道」⇒一部の敏感な人たちの購買行動変化 ⇒それを受けて「UNIQLO大人気」報道 ⇒実際にはあまり不況の影響を受けていない大多数の人々の購買行動変化  という連鎖になっているような気がしています。
確かに、現在進行中の不景気というのはけっこう深刻です。実際に僕の仕事にも影響は大きく出ているし、世のビジネスパーソン全般についても同様でしょう。でも、だからといって収入が実際にガクンと減ったり、職を失ったりする人たちは日本全体から見ればごく一部です。そうした一部の現象を針小棒大に取り上げて不安心理をあおるマスコミ報道によって人々の購買行動が変化して「緊縮モード」に入り、マクロ的な需要が減少することで実体経済が受ける打撃のほうが、本来的な意味での「不況」の影響よりもはるかに大きいんじゃないかと思います。
「貯めるな、使え」とは大前研一氏の言葉ですが、現状を冷静に分析して「今自分が置かれている経済状況と今後の見通し」を踏まえたうえで、「今可能な消費行動」を選択するための知恵の提供をこそ、影響力の大きなマスコミには期待したいと思います。
そして一方の情報を受け取る側にも、外部から得る情報がTVを中心としたマスコミに偏りすぎていないか、チェックすることが求められます。まったくの私見ですが、自分の考えや感覚を構築するための外部情報ソースの半分以上がTVからという状態は、非常にキケンです。本や雑誌、あるいは他人の経験談(他人から聞くTV情報は経験談には入りません)など、複合的なチャネルからモノを見、モノを聞くようにしたいですね。
ちなみに、僕はUNIQLOで欲しかったブラウンのダウンジャケットを買いました。ヨメとの共有財産として、この冬を乗り切ります。あ、僕は不況になる前からのUNIQLOヘヴィーユーザーですからね(笑)