30石の酒

今夜は徳島の蔵元が造った日本酒「旭若松」を楽しむ【日本酒の会】に参加してきました。この蔵元、1年間に30石という、ごくわずかな量しか生産しないという非常にミクロな酒蔵さん。都内でもほんのわずかな酒店でしか購入することのできない、実に貴重なお酒なのだそうです。
今日は全部で9種類の酒を飲んだのですが、そのすべてが「旭若松」。でも味はすべて違う。使っているお米、タンクによって、味が違うんですね。異なった米の異なった配合が、まったく異なった味を紡ぎだす。なんとも不思議な味体験でした。
お邪魔したお店は、池袋の「坐唯杏」さん。日本酒に合わせて料理を作っているという、お酒を大事にするこだわりのお店でした。会の最初に料理の説明をしていただいたのですが、旬の食材に独自の調理方法と、まさにこだわりを感じる内容。酒と食、日本という国に生まれてよかったと心から思える瞬間ですね。
もうひとつ感じたのが、純米の生酒という日本酒の旨さ。醸造アルコールを使わず米だけで造り、さらに火入れをしない生の味わい。少し強い味だと思う人もいるのでしょうけれど、もともと日本酒の味が好きな人間にとってはたまらない広がりが舌の上で展開されていきます。
お酒の説明を聴き、料理の説明を聴き、それぞれに心からの「こだわり」をもって接していらっしゃる職人さんたちの存在を知り、改めて「こだわり」というものへの敬意を感じた一夜でした。