部下は育てるな!
池袋でGABAのレッスンを終えた後、少し時間があったので地下鉄の改札近くにある小さな書店に立ち寄りました。そこで目に留まったのがこの本。
部下は育てるな! 取り替えろ! ! Try Not to Develop Your Staff (光文社ペーパーバックス)
- 作者: 長野慶太
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/09/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ところが、読んでみるとこれが意外に(といったら著者に失礼ですが)いい本でした。タイトルの通り、主張の基本線にあるのは「部下を教育するのは3年目まで。それ以降は育ててはいけない。必要に応じて取り替えて業績を上げていけ」という発想。
一見過激に見えますが、その根底にあるのは人間の成長というものへの独特な視点。それは、部下を「育てる」ことなんてできない。あくまでも、部下は「自分で育つ」しかないのだ、というものです。人間を外からの力で育てるのではなく、部下自身が自分の力で成長していくという姿。
協調性を否定する「上司力革命」は、部下を育てない代わりに部下のモチベーションには深く深く、真剣勝負で関与することが求められる
あなたは、部下の本当の動機を知ろうとしなくてはならない。なぜなら、真摯に耳を傾け、そこに対してあなたが本当に一肌脱いでやろうという誠実な態度を見せることこそが、部下を最大限に会社に貢献させるプロセスとなるからだ。
こうした考えをベースに、部下の管理方法・褒め方・叱り方・会議の運営などなど具体論が展開されていきます。
「取り替えろ」という主張にはなかなか同意できない部分がありますが、部下のモチベーションに対して真剣勝負で関与するという発想には共感します。うわべだけのハーモニーを醸成して組織内の軋轢を減らすことだけに汲々としているマネジメントばかりが目につく中、部下の人生における興味に真摯に耳を傾ける上司像というのは新鮮ですね。
もちろん、部下の人生と真摯に向き合うということは、自分自身の人生ともきっちりと向き合っている必要があるということになります。部下の人生における悩みに対して、「そんな哲学みたいなことを考えてても仕方ない、とりあえず目の前の仕事をやっていればいい」というような安易な回答しかできないのでは、本当の意味でのリーダーにはなれないのでしょう。