ハゲタカ

NHKドラマの原作にもなったこの本、もともと金融系の小説は大好きということもあり、正月休みの最後に読むことにしました。

ハゲタカ(上) (講談社文庫)

ハゲタカ(上) (講談社文庫)

ハゲタカ(下) (講談社文庫)

ハゲタカ(下) (講談社文庫)

後にUTB銀行になる三葉銀行、アメリカ最大のシティズン・バンク、そしてゴールドマックス証券。更には大学教授から小伊津(こいづ)内閣の金融担当相に就いた竹並氏・・・。どこかで聞いたような金融機関・経営者・政治家の名前が次から次に登場します。
取り上げられる企業買収やターンアラウンド(企業再生)のエピソードも実在のものに限りなく近い(栃木の地銀・足助銀行とか・・・)こともあり、どこまでがフィクションなのかわからない、なかなかに練りこまれたストーリー展開を誇る経済小説でした。
とかく小難しい金融のスキームや鮮やかな交渉テクニックにスポットが当てられることが多い金融系の経済小説にあって、泥臭い人間関係に支えられた企業買収・企業再生の現場に多少なりとも触れているという点で、新しさを感じる作品でした。
欲を言えば、より経営的な視座から企業再生を眺め、再生中の資金調達等のファイナンス面での格闘などが描かれていたらよかった、とは思います。とはいえ、登場人物の個性的なキャラクター含め、独特な世界観は非常に魅力的でした。主人公が元ジャズピアニストっていうのもいいですね。