ウェブ時代をゆく

ウェブ進化論」「ウェブ人間論」「フューチャリスト宣言」と読んできた梅田望夫氏関連の著作の最新刊を読みました。梅田氏一人が執筆し自身の考えを綴っているという意味では、「ウェブ進化論」に続く2作目ということになります。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代の意味を描いた『ウェブ進化論』と対になった「その時代に生まれる新しい生き方の可能性」をテーマとした本を、いま時をおかずに書かなければと思ったのだ。

とあとがきにある通り、ウェブ(インターネット)という新しい社会インフラが整備された時代を、どのように生き抜くべきなのか?というHowの部分にスポットライトを当てた本。ウェブ時代とはどういうものなのか?というWhatに相当する論が展開された前作とは明らかに趣を異にする内容でした。
新年だからということではないけれど、これからの時代を生きる上での必読書として「ウェブ進化論」「ウェブ時代をゆく」の2作を挙げる必要を強く感じます。

「もうひとつの地球」が人生のインフラになるこれからの時代に、与えられる利便性や自由の代償として、私たちは「新しい強さ」を身に着けていく必要がある。

世界中の情報を整理しつくすという目標を掲げたGoogleが躍進し、どんな情報でも手に入れることができるようになった現代。「情報を持っている」というだけでアドバンテージがあった時代とはまったく違う「自分なりの優位性」を個人個人が身に着けていかなければ生き抜いていくことはできません。
ウェブという武器を使って一人ひとりがどこまで知的生産性を高め、質の高い思考を積み重ねていくことができるか、過去の人類が経験したこともないとてつもない知的実験場に今の地球はなっている、そんな思いを抱かされる一冊でした。
果たして自分がそうした実験場で主役をはれるだけの活躍ができるのか?すべての人が真摯に自身に問いかけ、惜しむことなく努力をしたら、きっと世界は今よりもずっとずっとすばらしい場所になるはずです。Googleの創業者が目指す「世界をよりよい場所にする」というのも、こういうことを指しているのではないでしょうか。
①向かうべき夢があり、②夢を実現させるための道筋がある程度わかっていて、③努力をすればその道筋の上を前進していくことができると確信したとき、人間の「努力する力」は最大限に発揮されると僕は考えています。
ウェブというインフラは、努力に対して支払われるリターンを大きく増幅してくれる可能性を秘めています。そうしたリターンを前に人類がより一層の努力を積み上げていったら・・・?楽しみな未来が立ち現れると思いませんか?