人づくりという組織論
言わずと知れた野球好き。というわけで、この本を今日は読了しました。
- 作者: 野村克也
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
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全編を通じて沁み出してくるのは、組織とは結局のところ人の集まりであり、ひとりひとりの人がしっかりと人格を作られていなければ組織もまた厳しいプロ社会を生き抜くことはできないのだということ。それはプロ野球チームであれ、私達の所属する会社組織であれ同じでしょう。
こんな文章がありました。
監督の役目というとすぐにチームづくりとなるが、チームをつくるにはまずひとりひとりの選手をつくらなくてはならない。そういった意味では、監督の最初の仕事とは人づくりである。人をつくって初めてチームづくり、試合づくりに着手できる。
人生の評価と人間性の評価は相重なっており、成功も幸福も、能力を発達させるだけでなく、何よりも人間的な成長が不可欠となる。だからこそ、「どの道を取ったか」「何を選んだか」という小さな選択肢が、周囲に影響を与え、その人間の評価につながり、そして最終的にはその者の人生を運命付けていくのである。
他チームにおいて、必ずしもこうした人づくりをしている監督ばかりでないことを著者は嘆くのですが、それは企業にあっても同じこと。こうした「人づくり」をせぬままに市場というグラウンドに向かい戦いを演じている組織が眼前に満ち満ちているのが現実です。
特に、昨今では人材=機能あるいはマンパワーという見方をする企業が増えてきている気がします。短期的には、能力やスキル(=機能)に恵まれたスターを集めることでそのチーム(=企業)は強くなるのでしょう。しかし、その強さを継続して発揮する仕組みを作っているかという点に関しては疑問に感じてしまう、そんな”エクセレントカンパニー”も多いのではないでしょうか。
戦略・戦術・技術というもの以前に存在する「人」あるいは「人格」という要素、「古臭い」と感じる人もいるのでしょうが、そうした血の通った組織論なくして強いチームを作ることはできないのだと、改めて考えさせられます。
そして、そんな血の通った組織は、組織として強いだけでなく、そこに生きる人々の人生までも力強く変革していくことになる。こんな言葉が書中に引用されていました。ヒンドゥー教の教えだということですが、以前にニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜選手が恩師から贈られた言葉として聞いたことがあるのを思い出しました。
「心が変われば態度が変わる
態度が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる
運命が変われば人生が変わる」