間違いなく最高の投資術

先日書いたような投資の話に、実は究極の解があります。何に投資するのが最もリスクが少なく、リターンが高いか?恐らく世界の大半の人にあてはまるであろう最高の投資対象。そう、それは「自分」です。
年間500万円の年収を得ている標準的なビジネスパーソンの場合を考えてみましょう。その収入を生み出すためのコストが200万円程度かかるとして、1年間の収益は300万円になります。彼を投資対象として見れば、「年間300万円の利子のついた債券」と同じと考えることが出来ます。(人間を債券と同一視するのは抵抗感があるかもしれませんが、リターンを生み出す存在は詰まるところ金融資産と同じです。)
彼という金融資産を保有していれば、年間300万円の利子を支払ってくれる、というわけです。それでは、彼を今度は売却することを想像してみましょう。年間300万円の収益を生み出し、今後約40年くらい働くことのできる投資対象に、一体いくらの値段がつくのか?言い換えてみれば、その評価額が標準的なビジネスパーソンの「時価」ということになります。
こういった計算には便利な方法があって、ファイナンスの世界では「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」と呼ばれています。将来その商品が生み出す収益から計算して、その現在価値をはじき出す方法です。
難しい計算式は省きますが、さきほどの彼の場合、現在価値はだいたい4,000万円くらいになります。たった今、彼が自分自身を市場に売却した場合(もちろんそんな市場はありませんが・・・)、4,000万円くらいの値がつく商品になるということですね。
いまどきの日本でも4,000万円の金融資産を持っている人なんて滅多にいませんから、これはすごい財産です。そう、彼は「自分自身」というタイトルのついた4,000万円分の金融資産を、既に有しているのです。
こうした「人的資本」は、誰もが持っているということ以外に大きな特徴があります。それは、「自分自身に投資して成長することで、価値を高められる」ということ。英会話学校に授業料を払って英語をマスターすれば、彼の年収は20%くらいアップするかもしれません。それはとりもなおさず、今後の彼が生み出すリターンの総額を20%増額することになります。授業料という一時的な「投資」が、その後の安定的なリターンを約束してくれるのです。
そして、そんな「人的資本」は、滅多なことで市場が崩壊して値が崩れたり、突然紙切れになったりはしないというのも大きな特徴の一つです。つまり、投資すれば投資しただけ、より多くのリターンが安定的に得られる可能性が高い金融商品、と言うことができるのです。これは、その他の一般的な金融商品とは一線を画す大きなポイントです。まさに、ローリスク・ハイリターンの投資対象と言えるのではないでしょうか。

読書もまた、自己投資の一つの手段です。いかに効率よく、多くの先人の知恵を自分のものとして活かしていくことができるか。ニュートンは自らの功績は「巨人の肩の上に立っていたから」できたのだと語っています。つまり、先人の知恵を上手に活かさなければ、現代人の進歩はないのです。
読書の方法を工夫することは、そんな「投資」の効率を高めるいい方法なのかもしれません。そんな本を、最近読みました。

レバレッジ・リーディング

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