投資家という無常

人がお金持ちになるためのたった一つの方法は、こんな式で表すことができます。
(収入−支出)+資産×運用利回り
この数式のアウトプットを最大化することができれば、あなたもきっとお金持ち。だとすると、やるべきことは3つしかありません。
1.頑張って働いて収入を増やす
2.頑張って節約して支出を減らす
3.運用利回りを上げる

世界一の高人件費国ニッポンで死に物狂いで働けば、それなりの資産を一定期間に作ることは可能です。そして、できる限り質素な生活をする。あとは、そうして作った資産の利回りを上げること。そう、これだけ。難しいことはありません。でも、みんな①〜③を徹底的にできないから、お金持ちはそんなに沢山生まれない。
お金に困らない生活はしたいけれど、クオリティ・オブ・ライフを犠牲にするのはちょっと・・・という大多数の人(僕も含めて)は、③に力を注ぐのが賢明です。世はかつてない投資ブーム。株式にマンションに投信にと、新聞・雑誌にはいろんな金融商品が名を連ねています。
さて、投資家である私たちは、一体何に自分の資産を振り向ければいいのか?やっぱり一攫千金なら株?長期投資なら株は必ず上がるって聞いたし。地道に行くなら国債か・・・?でもニッポンはどうなるかわからないから、外貨で持っていたほうがよい?云々。迷いは尽きません。
でも、この問いに対する答えも、実はいたってシンプルなものです。ノーベル経済学賞を受けた論文が美しく科学的に証明してくれている理論に、ただただ従うというもの。それも難しい計算は一切なし。いくつかの金融商品を「これください」と買うだけ。
何だか身も蓋もない話ですね。そう、学問の世界では、投資というのは身も蓋もないものなのです。最も大切なこと、そして決して忘れてはならないことは、ただ一つ。「自分の知識やテクニックで、他の市場参加者を出し抜けるなんて決して思わないこと」。そんな誘惑に負けてしまいそうな人は、身も蓋もないタイトルの本を読むといいかもしれません。

臆病者のための株入門 (文春新書)

臆病者のための株入門 (文春新書)