神の図書室
先日ここでも少し紹介した新書「99.9%は仮説」がきっかけになって、こんな本を読みました。
- 作者: ディヴィッド・ボダニス,伊藤文英,高橋知子,吉田三知世
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2005/06/23
- メディア: 単行本
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中学校時代に完全に理科でつまづいた人間、「物理の世界には壁があるんです。でもその壁を越えると、すごく分かり易い世界が広がっているんです。」と嬉しそうに話す物理の先生を前に、「僕には壁は越えられません」と心で呟いた人間である僕にとっては、最もとっつきにくい領域の書物といってもいいでしょう。
わからない単語をWikipediaで検索したり、昔化学の授業で習った原子の構造をおぼろげながらに思い出したりしながら、何とか読了。到底「わかった」とは言えない理解レベルではありますが、宇宙の構造・運動を司る法則、というロマン溢れるテーマには、やはり心躍るものを感じました。
途中、アインシュタインの言葉としてこんな文章が紹介されています。
「わたしたちは、壁という壁がすべて天井までびっしりと、さまざまな言語で書かれた書物で埋め尽くされている巨大な図書室に足を踏み入れた小さな子どものようなものです。この子どもは、これらの書物が何者かによって書かれたものだということを知っています。だが、誰がどのように書いたのかは知りません。これらの書物が書かれているさまざまな言語も知らない。しかしこの子どもは、これらの書物の配列の中に、厳然たる計画、謎に満ちた秩序が存在することに気づきます。それはこの子どもの理解を越えたものですが、それでもこの子どもは、そのようなものがあるはずであると、漠然とではあるが感じているのです。」
どこかの誰かが宇宙の法則・秩序を本に書き、それが収められた図書室がどこかにある。我々人間は、その図書室の本を少しずつ読み解いている。何ともワクワクとするような例えです。こんな想像をもし中学校時代の先生が掻き立ててくれていたら、僕の理科に対する態度はもう少し違った方向に向かっていたのかもしれません。まあ、能力・センスの問題もありますから、行き着く先は同じだったのかもしれませんが。