カモが武器を手に入れた

『買い物の前にはまず“価格.com”を見る』これは僕自身も1万円を超えるような買い物をするときにはほぼ必ず実行しているステップです。先日のニンテンドーDSもそうですし、一眼レフカメラやGR-Digitalを購入したときもそうでした。僕にとっての、新しい消費習慣とでも言えるかも知れません。今回、カカクコムはこうした新たな消費習慣を更に強化する動きに出たようです。
小売店より安い店がわかる?--バーコードを撮影して価格.comで値段チェック
携帯電話で商品のバーコードを読み取るだけで、その商品の価格.comのページを表示する、つまりあの最安値表示や口コミ情報等を表示するというサービスが開始されたのです。
オリジナル性のないメーカーブランド品を扱う小売業にとって、以前からこの「価格.com習慣」は厄介なものだったことでしょう。従来であれば、他店の価格情報や商品情報を持って来店する客は稀。いろいろと質問を受けたり値切られたりしても、販売員の接客テクニックや一定程度の安値で何とでもしのげた。ところが、価格.com習慣が蔓延した今日ではそうは行きません。
現代の来店客は、最安値情報という武器を手にし、更には購入者からの口コミ情報で商品に関するメリット・デメリットを熟知している。そんな状態で来店されたのでは、接客する方はたまったものではありません。質問は高度になって応対時間もかかるしスキルも必要、何より価格交渉が以前とは比較にならないくらいシビアになったはずです。そう、カモがネギを背負って来店していたはずが、いつの間にかカモが「情報という武器」を持って来店している、そんな状況でしょうか。
現に僕も、一眼レフカメラを買うときには価格.comの最安値を某家電量販店で提示し、「さぁ、どこまで安くしてくれますか?」と迫った記憶があります・・・。
そうした新しい消費習慣を、更に蔓延させるのが今回の携帯サービス開始。これまでは、①店舗または自宅で気に入った商品を見つける、②自宅で価格情報・商品情報を仕入れ ③店舗に行って実物を確かめ ④価格交渉してみて 最安値に近づかないようなら帰宅し ④自宅からネットで最安値圏の店に注文する という流れが一般的でしたが、これからは、①携帯を持って店に行き気に入った商品を見つける ②携帯で価格・商品情報を入手して問題なければその場で価格交渉 ③交渉決裂なら、その場で携帯から注文 となるでしょう。消費者の購買に至る 商品発見〜情報入手〜購買までのプロセスが、時間・労力ともに大幅に軽減・簡略化されるのです。
となれば、より一層カモのパワーが強大化することは間違いないでしょう。携帯一つで、「賢い消費者」に近づけるわけです。さぁ、小売業の皆さん、カモを侮っていては、怪我をしますよ。さぁ、消費者の皆さん、携帯という武器を持って旅に出ましょう。もう誰も、あなたを誤魔化すことはできません。